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R&B・ソウルミュージックの名曲をジャズとして演奏! ベスト3

今回は、R&Bやソウルミュージックの名曲をジャズとして演奏したものベスト3をご紹介します。ジャズは、ニューオリンズに生まれ、これまでにも色々な音楽ジャンルと関わってきました。その中でも、最も近い関係なのが、R&Bやソウルミュージックです。

大須賀 進

執筆者:大須賀 進

ジャズガイド

R&Bやソウルミュージックの名曲をジャズで演奏したものベスト3

R&B、ソウルミュージックの名曲とジャズ

R&B、ソウルミュージックの名曲とジャズ

R&Bやソウルミュージックも、ジャズと同じアメリカで生まれた偉大な音楽です。この三つのジャンルは言ってみれば親戚同士のようなもの。これまでも接点となるような音楽が多く生まれてきました。

今回は、そのR&Bやソウルミュージックの中で名曲と呼ばれる曲を、ジャズとして演奏したものをご紹介します。
 

第3位 レイ・チャールズの名唱で名高い「ジョージア・オン・マイ・マインド」エルモ・ホープ 「ホープ・ミーツ・フォスター」より

ホープ・ミーツ・フォスター

ホープ・ミーツ・フォスター

「ジョージア・オン・マイ・マインド」といえば、何といっても盲目の弾き語りシンガー、レイ・チャールズ。「ソウルの神様」と呼ばれたレイの1960年の大ヒットです。これほど、レイのカラーに染まった曲もありませんが、実はもともとはジャズのスタンダードとして有名な曲でした。

作曲したのは「スターダスト」で有名なホーギー・カーマイケル。ホーギーも弾き語りで有名な人です。この曲は、レイ・チャールズに取り上げられたことにより、ジャズと言うよりもR&Bのイメージが定着しました。そしてこの曲は、アメリカのジョージア州の州歌としても愛されています。

今回ご紹介するのは、レイの熱唱の五年前、純粋なジャズとして演奏されたバージョンです。典型的な「ビ・バップ」のフォーマットでピアニストのエルモ・ホープによって演奏されたものです。

エルモ・ホープは「モダン・ジャズ・ピアノの開祖」バド・パウエルと幼馴染だったという人。そして生粋のパウエル派のピアニストです。小さい頃から仲の良かったバドの後を一所懸命に追った人ですが、それゆえにかメジャーな成功からは縁がなかった人です。

そのやや不運なエルモと共演するのは、テナーサックスのフランク・フォスター。フランクは、カウント・ベイシー楽団で、サックス奏者兼アレンジャーとして活躍した人です。

演奏は、エルモのミディアムテンポでの軽快なイントロから、フランクによって、あの有名なテーマが奏されます。レイの、重厚な歌のイメージからすると、なんとも軽いノリのサックスに、少し拍子抜けしてしまうかもしれません。

後にジョン・コルトレーンにあこがれ、コルトレーン派になるフランクですが、この当時は、正真正銘のビ・バップ・テナー。音色もそっくりなソニー・スティット風です。よどみなく流れる滝のようなアドリブを繰り出す名人ソニー・スティットから比べると、少々フレーズの詰めが甘く、流れも弱い感じです。

そうなると、この稀代の名曲が、より一層なんでもない曲に感じられてくるから不思議です。おそらくは、ジャズでのこの曲の立ち位置は、こういった少し不遇なところだったと思われます。

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Very Best of

Very Best of

そうしてみると、この曲を取り上げ、熱唱を聴かせ、大ヒットさせたレイ・チャールズの偉大さがひときわ光ってきます。レイは、もともとはピアノのほかにアルトサックスを吹き、ジャズも演奏していたミュージシャンでした。

ジャズ畑では、ヴァイブのミルト・ジャクソンと録音を残しており、こちらも素晴らしい出来です。自身のバンドのホーンセクションからは、アルトサックスのハンク・クロフォードやテナーサックスのデヴィッド・ニューマンなど、通好みの名人を輩出しています。

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Soul Brothers-Soul Meeting

Soul Brothers-Soul Meeting

そういった、ジャズに対する理解が、レイの音楽活動の幅を広げたことは間違いがないところです。レイのほかにも、R&Bやソウルミュージックで活躍するミュージシャンの中には、ジャズバンド出身という人が少なくありません。

クインシー・ジョーンズジョージ・ベンソンはもとより、アース・ウインド・アンド・ファイヤーのモーリス・ホワイト(ラムゼイ・ルイス・トリオのドラマー)や自らピアノを弾きジャズアルバムを入れているアレサ・フランクリン、ジャズの弾き語りをしていたノラ・ジョーンズなど。多くの成功したミュージシャンがジャズからインスピレーションをもらって活躍しています。


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第2位 オーティス・レディングの熱唱で有名な「トライ・ア・リトル・テンダネス」アン・バートン 「バラード&バートン」より

バラード・アンド・バートン

バラード・アンド・バートン

この「トライ・ア・リトル・テンダネス」ほど、オーティス・レディング以外には考えられない歌もありません。しかし、この曲も実はイギリスの古いスタンダードソングです。

1932年にイギリスのレイ・ノーブル・オーケストラによって演奏され、その翌年にはアメリカでビング・クロスビーに取り上げられ、スタンダード化した曲です。

それでも、やはりこの曲と言えばオーティス。1967年にヨーロッパツアーした時のヴァージョンは鳥肌もののすごさです。オーティスそのものと言って良いほどの代表作です。

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Live in London & Paris

Live in London & Paris

 

その難曲を、しっとりと大人の風情で、自分の手元に引き寄せたのがオランダのアン・バートン「バラッズ&バートン」の名唱です。

ピアノのルイス・ヴァン・ダイクの趣味の良いイントロから、静かに歌いだすアンの存在感は、際立っています。途中入るテナーサックスのオブリガードも効果的。いつの間にか、この曲の元来持っているセンチメンタルな甘いムードに気付かされます。

非常に臨場感のある録音も素晴らしく、小さなライブハウスで、グラスを傾けて聴いているかのようなリラックスした名演です。

オーティスとアン、まったく個性の違う歌い手ですが、どちらも曲の持っている良い面をそれぞれの方法で引き出し、聴衆を酔わせる特別な力を持った名シンガーと言えます。

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第1位 ザ・プラターズの全米NO.1大ヒット「ザ・グレート・プリテンダー」レスター・ボウイ「ザ・グレート・プリテンダー」より

Great Pretender

Great Pretender

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この「ザ・グレート・プリテンダー」は、コーラスグループのザ・プラターズが1955年に放った全米ポップチャート第一位の大ヒット曲です。ザ・プラターズは他にも「オンリー・ユー」「ハーバー・ライト」「煙が目にしみる」などヒット曲を多く持つグループです。
Greatest Hits

Greatest Hits

そんな中でもこの「ザ・グレート・プリテンダー」は、アーティストからのファンも多く、1987年にはイギリスのロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーにもカヴァーされました。

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その超有名なR&Bの名曲を、ここでのレスター・ボウイは、彼なりに真っ向から挑んでいます。

レスター・ボウイは、「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ」というフリー系のバンドに所属した文字通りフリー系のトランペット奏者です。80年代には、相当人気を誇り、1984年の来日時には私も観に行きました。

その際のすさまじいレスターの吹奏は今も忘れることができません。大きな会場の中ほどに座っていた私の顔に、レスターのトランペットの音が風圧として感じられたのです。

その圧倒的な風圧と同時に、レスターの混じりけのないクリーンで綺麗な音色にも驚いたのを覚えています。
ライブ・イン・ジャパン

ライブ・イン・ジャパン

この「ザ・グレート・プリテンダー」の演奏でも、そのレスターの音色の綺麗さと吹奏の力強さがよく表れています。テーマを吹くだけで、強烈にジャズを感じさせるところも、レスターの特徴です。

途中、フリーの演奏に突入しますが、唐突にというよりも、必然性を感じさせる違和感のなさです。聴く側を全く飽きさせない展開と言えます。ハミエット・ブルーイットのバリトンサックスも随所で低音を響かせ、効果的です。

惜しくも1999年にレスターは亡くなってしまいましたが、彼の思いはこの「ザ・グレート・プリテンダー」の演奏に宿り、現在に至っても、聴くものを感動させてくれます。

R&Bやソウルミュージックでは、一番大切なのは歌です。そのことがジャズでも同じだということがわかる、名演と言えます。

今回の、R&Bやソウルミュージックとジャズはいかがでしたか? 今回ご紹介した以外にもまだまだ、名曲名演はあります。機会を見てご紹介していきますね。ではまた次回お会いしましょう!

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