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中学受験「社会」…直前に「間に合わない」と焦らない勉強法

中学受験において、「社会は単なる暗記科目」と高をくくってらっしゃる方も多いはず。一方で「うちの子暗記が全然ダメなの」と悩んでらっしゃる方もいるでしょう。今回は社会の誤解を2つご紹介しながら、暗記のコツについてお話ししたいと思います。これを参考にすればテスト直前に「間に合わない…」と慌てることもなくなるはず。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

中学受験の社会の勉強方法とは

中学受験「社会」の勉強には分冊百科と図鑑も役に立つ

中学受験「社会」の勉強には分冊百科と図鑑も役に立つ


さて、学習法もいよいよ最後の科目、社会です。社会に対する誤解を2つご紹介しながら、正しい社会の学習法についてお話したいと思います。
   

中学受験「社会」の誤解1 暗記科目だから、後回しで大丈夫

長年指導をしていますと、教師から見てあまり不安なく入試に突入し、順当に合格を取る生徒には、ある特徴があることに気付きます。それはズバリ「4科目のバランスが良い生徒」です。「不得意科目がない生徒」は、安定的に志望校に合格していきます。ということはつまり、「不得意科目を作らないこと」が、志望校合格への近道であると言えそうです。

ところが、社会を苦手にしている生徒の中には「社会なんて暗記科目だから、後からいいや」と考えている人が少なからずいます。本当に後からでも間に合うのでしょうか。

中学受験の社会では、地理・歴史・公民の各分野から、バランスよく出題されます。そのいずれの分野も、かなり細かい知識力を要求されます。たとえば「宮城県で主に生産されているブランド米の品種は何ですか?」とか「1937年に日中戦争の引き金になった事件は何ですか?」とか「女性が一生のうちに生む子どもの人数を表す数値はなんと言いますか?」といった問題が、実際の中学受験では出題されるのです。これは、はっきり言って公立高校の入試問題よりも難しいレベルです。ちなみに、上の答はそれぞれ「はえぬき」「盧溝橋事件」「合計特殊出生率」です。

こんなにも細かい知識を要求されるのに(しかも上位校の場合、上記の問題は基本問題になります)、「まだ間に合う」とのんびりやっていると、ある日突然「もう間に合わないー!」となってしまいます。社会は後からでも、いくらでも追い付ける、という科目ではないことを、保護者の皆様は肝に銘じておいて欲しいと思います。
 

中学受験「社会」の誤解2 暗記力がないから諦めるしかないのでは

中学受験「社会」には、語呂合わせ、エピソード記憶を使おう

中学受験「社会」には、語呂合わせ、エピソード記憶を使おう


誤解1の説明を読むと、何だか社会の学習ってとっても大変そうですよね。勉強量も半端なく必要になりそうな気配がします。暗記力がないからとても無理、と思われる方が出てきても、無理ないところでしょう。

もちろん学習ですから、楽にいかないこともあります。しかし暗記は、やり方ひとつで効果がガラリと変わることもありますので、諦める必要は決してありません。

暗記の第一のコツは、エピソード記憶の活用です。社会の暗記をおこなうとき、多くの人は一問一答の、単答式で覚えていきます。しかしそれだと効率がよくない上に、時間が経つとどんどん忘れてしまいます。そこで覚えるべき知識をいくつかまとめて、物語(エピソード)にして覚えてしまうとよいでしょう。

たとえば、覚えにくい「日清戦争前後」についてなら、「1894年に朝鮮半島で大規模な農民反乱(甲午農民戦争)が起こった。これを平定するため、日本と清(当時の中国)両軍が朝鮮に兵を送り、日清戦争が勃発。翌1895年に下関で講和条約(下関条約)が結ばれ、日本は台湾・遼東半島・澎湖諸島・賠償金2億両(3億1千万円)をもらった。しかしロシア・フランス・ドイツの三国が遼東半島の返還を要求(三国干渉)。日本は遼東半島を返還すると共に、ロシアの南下政策を警戒しイギリスに接近。1902年に日英同盟を結び、日露戦争へ向かうこととなる。」というふうに、物語にして覚えます。するとバラバラに散らばっていた知識が有機的に結び付き、むしろこの方が覚えやすい上に、忘れにくくなるのです。まさに一石二鳥です。

暗記の第二のコツは、語呂合わせをうまく活用することです。「えっ?語呂合わせ?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、これが案外バカにならない効果を生みます。

皆さんの中には「鳴くようぐいす、平安京」という語呂合わせを、今も覚えているという方がいらっしゃるのではないですか?うまい語呂合わせは強烈に印象に残り、世代を越えて受け継がれます。それは語呂合わせが忘れにくい構造を持っているからにほかなりません。語呂合わせは、短い文章自体がきちんと意味を持っています。意味があるために記憶に残りやすいのです。これはエピソード記憶が頭に残りやすいのと同様の原理です。数字の羅列に意味を持たない年号などを覚えるときに特に効果を発揮します。

しかし「鳴くようぐいす、平安京」ですと、「794年に平安京に遷都」という情報しか覚えられませんね。できれば短い文の中に情報をできるだけ詰め込みたいもの。そこでおすすめなのが、既存の語呂合わせや塾の先生に習ってきた語呂合わせに、自分なりのアレンジを加える方法です。たとえば「鳴くようぐいす…」の例なら、「鳴くよ感(かん)動、平安京」とすることで「平安京へ遷都した天皇は桓武天皇(かんむてんのう)である」という情報も加えることができ、情報量が1.5倍になります。なによりも、自分で考えた語呂合わせは、愛着も湧きますのでますます忘れにくくなること請け合いです。

暗記科目は、棒暗記をしようとすると、楽しくありませんしすぐ忘れてしまいますので、モチベーションが上がりにくく、効果も薄いです。「エピソード記憶」や「語呂合わせ」をうまく活用し、家族で楽しく覚えるように心がけてください。お子さんがまだ4・5年生ならば、日本国内をいろいろと旅行して、体験しながら学ぶとより一層効果的です。頑張りましょう!

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