フレンチ/東京のレストラン

アジュールフォーティーファイブ(2ページ目)

人気店オーグードジュール・ヌーヴェルエールでミシュランの星を取り続け、ついにザ・リッツ・カールトン東京のメインダイニングのシェフに就いた宮崎慎太郎。緻密で繊細な料理にはしなやかな力があり、飽きのこない味わいは長い余韻と「食の記憶」を残す。世界中のVIPを相手に常に戦うシェフであってほしい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

強い「個」が積み重なる料理

エゾアワビのタルタルにはサーモンをプレをモンブランスタイルに形を変えて「ソーモンブラン」として皿を彩る。焼き茄子のヴィネグレットが柔らかな酸味を添えて、やや単調な料理のバランスを取る。
アジュールフォーティーファイブ

茄子のヴィネグレットが素材を引き締める

2種類のフォアグラ料理に続き、オマールをマコモダケで包んだ料理は新鮮だった。オマールの凝縮感がシンプルに旨みを感じさせるもので、ソースがなくても見せ方を変えるだけで素材の持ち味をシンプルに表現される。それも決して押しつけがましくなく。
オマール

マコモダケにくるまれたオマールは強く印象に残る

ワインは料理に合わせて注がれるが、言われるままに注がれるとボトル1本以上になりそうなのでややセーブしなくてはいけない。なんせ、この18000円のコースにはアミューズからデザートまで11皿もの料理が運ばれてくるのだから!
ワイン

料理に合わせてグラスでワインがサービスされる

山口は萩から届く日替わりの白身魚を彩るソースブールノワゼットは完璧なマリアージュを表現する。メインのボルドー産仔牛「ヴォースーラメール」のローストに添えられる野菜のエクレア。これがメインディッシュの記憶をさらに高める作品となる。
リッツカールトン東京

仔牛料理に素材の美しさを見た

このあと、延々と続くデザートとの格闘が始まるが、このところドゥープラ(前菜メインの2皿料理)に」慣れていた私には、非常に刺激的だ。小皿料理が続く、というものではなく、一つ一つ独立した「料理」が次から次へと繰り出され、最後に一つのチームとしてまとまる印象だ。サッカーに例えると優勝したドイツのようなフォーメーションを想像してしまう。強い「個」が積み重なり連動して動くイメージは、宮崎シェフの考えが反映されているに違いない。
デザート

パッションフルーツの刺激がさらに食欲を高める

多皿の場合はボリューム感、合わせるワイン、全体のストーリー、そしてどの料理にピークを持っていくか。これは前菜ではなく、やはりメインディッシュでなくてはならない。その意味でボルドーの仔牛は優しい味わいをソースがしっかりサポート。野菜のエクレアが視覚からも美味しい記憶を印象付ける。

チーズからデザートに入ってのんびりとした時間を流す。
19時にシャンパーニュが注がれ、プティフールを摘んで時計を見ると23時半。かつてこれくらい時間をかけてフランス料理を楽しんでいた時代を思い出す夜となった。
リッツカールトン東京

エントランスにはブルーのサイン

アジュールフォーティーファイブ
予約 03-6434-8711
営業時間
ランチ:11:30~14:30
ディナー:17:30~21:00
ランチ4品コース5,000円(平日のみ)、5品コース7,000円~、6品コース10,000円
ディナーコース12,500円、18,000円
*別途消費税とサービス料13%
オンライン予約はこちらから

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