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冷涼な気候で、今、注目のアルゼンチンワイン!

アルゼンチンというと、南米で暑いイメージがあるかもしれません。でも、チリとの国境でもあるアンデス山脈がそびえていて、その麓の標高が高い場所にブドウ畑がたくさんあります。冷涼な気候のもとで育まれる繊細なワインたちが、今、注目されています。その代表的なワイナリーのひとつ「テラザス」のワインメーカーに話を聞いてみました!

名越 康子

執筆者:名越 康子

ワインガイド

アルゼンチンというと、南米で暑いイメージがあるかもしれません。でも、チリとの国境でもあるアンデス山脈がそびえていて、その麓の標高が高い場所にブドウ畑がたくさんあります。冷涼な気候のもとで育まれる繊細なワインたちが、今、注目されています。その代表的なワイナリーのひとつ「テラザス」のワインメーカーに話を聞いてみました!

特別な立地条件

アンデス山脈の麓にブドウ畑が

アンデス山脈の麓にブドウ畑が

アルゼンチンのワイン造りのメッカは、メンドーサにあります。アルゼンチンの中央西側に位置していて、西の方角を見ると、雪を頂いたアンデス山脈が悠々としています。1999年に立ち上げられた「テラザス」のワインメーカー、グスタボ・ウルソマルソさんに、この地の特別な立地条件について説明してもらいました。

「アンデスがあるので、内陸性気候で海からの影響をまったく受けないのです。西側からくる海からの湿気はアンデスを超える前にすべてなくなるので、とても乾燥しています。」乾燥していると病虫害の心配がなく、ブドウ栽培に好条件なのです。畑の管理も有機的にできるので、これもアドヴァンテージのひとつになります。。

標高によって最適なブドウ品種を選択

標高によって最適なブドウ品種を選択

「更に、100メートル上がるごとに気温が1度下がります。この標高による気温差や土壌の変化も含めて、長年にわたってどのブドウ品種がどの場所に最適なのか研究を重ねました。その結果、テラザスでは品種ごとに理想的な標高を見つけだしたのです。」
白品種のトロンテス=1800メートル(メンドーサより北部のサルタ地区)
白品種のシャルドネ=1200メートル(メンドーサ地区)
赤用品種のマルベック=1067メートル(メンドーサ地区)
赤用品種のカベルネ・ソーヴィニヨン=980メートル(メンドーサ地区)
そもそも1000メートル以上でのブドウ栽培などあまり考えないものですが、実際にこのように標高が高い場所に畑があるのです。ですから、冷涼だというだけでなく、紫外線が強いことや空気の薄さといった点でもブドウに何らかの影響を与えているはずなのです。

ちなみに、テラザスのボトルの裏ラベルには、この写真のような南米の断面図が描かれていて、どのあたりでどの品種が栽培されているかが記されています。

固有品種の魅力

テラザスの銘柄の中にある、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンは、他国他地域でもよく栽培されているブドウ品種ですが、「トロンテス」と「マルベック」は、それほど馴染みがないかもしれません。

「トロンテス」から造られる白ワインは、かつて甘口ワインが主体でしたが、最近辛口仕上げにされることが多くなり、テラザスの「レゼルヴァ トロンテス(2592円)」も辛口です。花や白い果実のアロマが華やかで、とても清々しいフレッシュ感に溢れるワインですから、アペリティフから飲み始められます。アルゼンチンの標高が高くて涼しい気候を、この白で満喫できるのではないかと思います。

ワインメーカーのグスタボ・ウルソマルソさん

ワインメーカーのグスタボ・ウルソマルソさん

「マルベック」は、もともとフランスからやってきた品種なのですが、今では故郷のフランス南西部にあるカオール地方より、アルゼンチンのマルベックのほうがうんと有名になってしまいました。青は藍よりいでて藍よりも青し、ですね。テラザスの「レゼルヴァ マルベック(2592円)」もアルゼンチンのマルベックらしい、素敵な香りがします。スミレのような紫色を思わせる特有の香りがあるのです。凝縮したチェリーのような、エキス分を感じる果実味がありますが、決して重くなく、繊細でフレッシュ感があるのもまた特徴でしょうか。それにタンニン分がそれほど多くないので、お魚やちょっとしたおつまみでも充分に楽しめる赤ワインです。

シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンも美味ですが、アルゼンチンワインといえばトロンテスとマルベックは是非お忘れなく!

ジョイント・ベンチャー

そして、これはテラザスならではのお話も、ひとつお知らせしておきましょう。フランスのボルドーには、いくつかの偉大なワイナリーがあります。今や、とても高価になってしまって、なかなか手が届かない存在になってしまって悲しいですが。その中に「シャトー・シュヴァル・ブラン」というワイナリーがあります。このワイナリーとテラザスがジョイント・ベンチャーとして造るアルゼンチンの赤ワインがあるのです。偉大なワイナリーがこの地でタッグを組んでワインを造りたいと考えるのですから、潜在能力の高さはそれだけでもわかりますよね。

「シュヴァル デ アンデス」という名前です。100年近いという樹齢の高いマルベック、そしてカベルネ・ソーヴィニヨンを主体にして造られた2008年が今、市場にあります。スパイスや黒い果実の香りが繊細に広がり、とても木目細やかで、なめらかな舌触り。上品そのものです。こちらは少し高価ですが(1万1016円)ボルドーワインよりうんとお安いので、機会があれば是非お試しください。
(輸入元/写真提供:MHD モエ ヘネシー ディアジオ)

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