崩壊するビジネスモデル
これは、据え置きハード市場のゲームソフトビジネスが回っていく環境を再び取り戻せるか、という問題そのものです(イラスト 橋本モチチ)
2014年6月10日から北米はロスアンゼルスで開催された世界最大のゲームの祭典、エレクトロニック エンターテイメント エキスポ 2014、通称E3ではまさにそんなゲームのオンパレードでした。SCEが開催したプレスカンファレンスでは、PS4向けに大迫力のゲームが次々登場し、海外での据え置きハードの盛り上がりが印象に残ります。一方で日本のソフトメーカーの存在感はいくつかの注目タイトルが登場はするものの、全体としてはとてもささやかな印象です。
海外では、次世代ゲームの登場によるゲームの進化に興奮するユーザーがたくさんいて、それに呼応するように開発が進んでいます。しかし、日本では、もはや主流でない国内据え置きゲーム市場にメーカーがどれほど力を入れて、もっと言ってしまえばお金をかけてゲームを作り込むことができるか、たくさんのタイトルを発売することができるのか、極めて不透明なままです。
日本のゲーム業界をもう一度眺めなおしてみると、まず圧倒的に元気なのはニンテンドー3DSです。累計販売台数は1,600万台に迫り、妖怪ウォッチの大ブームがさらに後押ししています。そしてもう1つ、多くのソフトメーカーがリソースを割いているのが、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末向けゲームです。明らかに、開発規模が小さいプラットフォームへと、タイトルが流れている印象があります。PS4はそれとは真逆にいるハードなんですね。
PS3がそうだったように、時間が経てばPS4にも強力なタイトルが現れて、盛り上がっていくはずだ、という見方もあります。ガイドも、基本的には時間がかかるけどもこれまでの実績から、各ソフトメーカーの据え置き向けエース級タイトルが投入されることに異論はありません。しかし一方で、PS3の時代よりも、さらに時間がかかり、さらにタイトルが絞られ、コンテンツの絶対量が足りない状況が長引く、という危惧があります。
PS4が海外では好調なのに日本で不調なのは、国内ゲーム市場がPS4のゲームを賄える規模が無く、メーカーの積極的なタイトル投入が感じられないことに大きな問題があります。そしてこの問題は、日本における据え置きゲームハードのビジネスモデルの限界を示唆しています。PS4がこの問題をどうやって解決していくのか、解決できるのか、ということは、国内における据え置きハード市場の行く末を左右していくかもしれません。
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