LCCを資産価値との関係で考えると
現在の新築住宅の耐用年数は60年以上。その時、これから建てる住宅がどのようになるのか、考慮することも大切だ
また、先々の資産価値を考える上でも、こちらの方が最終的に有利だと思うからです。イニシャルコストを優先した場合、建物は使い勝手はもちろん、点検やメンテナンスへの配慮が十分でないことが予想されます。
そうした場合、もし住宅を手放す場合になっても、資産価値として建物が高く評価されず、場合によっては土地だけの評価となってしまうケースもあります。こうした場合、これまでの悪循環、スクラップ&ビルドが繰り返されてしまいます。
では、LCCを重視した住宅の場合、将来的にどの程度のコストがかかるのでしょうか。大手ハウスメーカーの場合、それを新築段階から皆さんに伝えるという作業もしていますから、ちょっと見てみましょう。
上の図は、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)のケース。一般的な大きさの住宅の場合、30年で約400万円の改修・メンテナンス費用がかかると提示しています。このことが表しているのは、ちゃんと長期間にわたって定期的に点検を行いますよ、ということ。
「新築時の満足」=「将来の満足」とは限らない
このコストが高いか安いか色々な評価があると思いますが、いずれにせよ定期的な点検とメンテナンスを行うことで、建物の劣化を防ぎ、資産価値をできるだけ下げないようにするということです。大手のハウスメーカーでは、概ねこのような取り組みをしています。近年は、外壁塗装などの分野でメンテナンスコストを低減する新たな技術開発が増えてきた
ローコスト住宅には、このような配慮が欠けているというのが私の見方。一般的にハウスメーカーで住宅を建てる場合は高額になりますが、それにはこのようなLCCの点で有利になるような配慮が行われているためです。
住宅の満足度というのは、新築時点だけを基準にするものでもありません。長い目で見た時の満足度を考えることも大切であり、そうした意味でLCCというものの見方は大切だと思います。
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