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今さら聞けない紳士靴のディテール その1(2ページ目)

「あれ、これ何って言うんだっけ?」。紳士靴に関する今さら他人に聞けないディテールの解説のシリーズを今回から始めてみます。知らない方は「ほほうなるほど!」、既にご存じの方もおさらいのつもりでご一読下さいませ。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

鳩目廻りに迫力が増す外鳩目

通常の鳩目と外鳩目

写真向かって左が通常の鳩目周り、向かって右が「外鳩目」仕様です。後者の方が鼻筋が一気に太く強調される風貌になっているのがお解りいただけるでしょう。鳩目周りの補強の意味でも意味のあるディテールです。

レースアップの靴に切っても切れない縁があるのが、羽根部にあって靴紐を通す鳩目(はとめ)であることは言うまでもありません。ここ、着用時に結構テンションが掛かる部位ですので、その種の靴では何らかの形で周辺に補強が施されています。仮に全く何も補強していないと、次第に穴の縁から小さく破れ始め、それがあっという間に大きな破れに成長してしまいかねないからです。

一般的には、羽根部のアッパーとライニングとの間に別の薄い革をサンドイッチしたり、その内側つまりライニング側のみ金属で覆ったりするのを通じて補強がなされます。前者は殆ど気付くことはできませんが、後者なら例えばお手入れで紐を付け替える際に気付けるケースも多いはず。それらに対し、羽根の内側と外側の双方、つまりライニングとアッパーの双方が補強の金属で覆われている仕様を、特に外鳩目若しくは両鳩目と称します。

3種類の中で最も頑丈な補強になりますし、また見た目も鳩目廻りがイヤでも強調されるので、トリッカーズの外羽根式フルブローグのようなカントリー系の靴に多く見られるのも当然と言えば当然の意匠でしょう。ただし、清楚な印象の内羽根式の靴に採用されていることも稀にあって、鳩目自体の色や大きさ次第ではあるものの、その場合は得てして、鼻筋の通った古典的な印象が醸し出されるのが不思議なのです。

因みに英語での言い方は通常の仕様、すなわち前述した2種類は”Eyelet(アイレット)”ですが、外鳩目仕様は”Grommet(グロメット)”。オールソールリペアのような靴を大掛かりに直す必要がある際に、この仕様に変更して印象までリフレッシュさせてしまうなど、雰囲気まで思いっきりアレンジさせたい時に知っておいて損はしないはずです!

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