旅に出たくなるQUIET VILLAGE(4ページ目)

やっぱり鉄道だよ鉄道

ガイド：
『THE DAYS』のジャケは、表も裏ももろに「鉄道」ですね。また、鉄道を連想させる曲も多い。鉄道にこだわった理由を教えてください。

THE DAYS (amazon.co.jp)
01. PEOPLE
02. GO AHEAD
03. Green Window
04. A Passenger
05. 南風
06. 滑走路
07. THE DAYS

アルバム紹介サイト
試聴 (SoundCloud)
八田：
曲のイメージは旅と関連づけてはいますけれど、最初はここまで鉄道推しにするつもりは全くなかったんです(笑)。でも、イラストを引き受けてくださったふせゆみさんと打合せをしているうちに「やっぱり鉄道だよ鉄道」って感じになってあれよあれよとこんな感じに。ブックレットには旅の写真も載っているのですが、これはすべて僕が旅先で撮ったもので、それとともに旅と結びつけた曲解説を書きました。

ガイド：
八田さんはJRを完乗（完全乗車の略：そういう言葉があることを知りませんでした）されたと！ JRは沖縄には無いですが、それ以外の都道府県にはありますよね。先ず、完乗の定義とかルールを教えてください。完乗すると決めてから、達成するまでどのくらいの年月がかかったのでしょう？

八田：
定義は人それぞれですね。僕は「JRと、旧国鉄およびJRが第三セクターに変わった路線を含めた営業路線すべてで完乗」としました。人によっては「全部景色の見える時間帯に乗る」とか「普通列車で周る」とかいう条件をつけたりしています。さすがにそこまでは…

鉄道ファンの間では有名なのですが、故・宮脇俊三さんという方の『時刻表2万キロ』という本が1978年に出版されました。これは出版社に勤める会社員が週末を使って、こつこつと国鉄全線に乗車した、という紀行文で僕も熱心に読んでいました。内容も決してマニア向けではなく、非常に美しい日本語で書かれた文学作品で、当時鉄道ファン以外からも評判の高かった本です。

なので、いつか僕も完乗できたらいいな、とは思ってはいて、大学時代の夏休みで20日間かけて北海道の国鉄を完乗しました。1986年のことです。でも、社会に出てしばらくは仕事とかで、そんなに出かける暇もなくなり、忘れかけていたのですが、ここ10年ぐらい鉄道熱が再燃してきて、週末とか、ちょっと休みが出来たときなど、ことあるごとに出かけて始めたんですね。するとなんとなく先が見えてきて、どうせなら全部乗ろう、と思った次第です。ですので達成は遅くて2007年の9月です。九州の宮崎から鹿児島の大隅半島に向かう「日南線」というところで達成しました。まあ、その後も新線が出来たり、新幹線が伸びたりするので、100％を維持するためにその都度行かないといけないんですけど(笑)。

テクノフュージョン

ガイド：
1曲目の「PEOPLE」は、出だしのシンセ音にテクノ魂を感じます！ 基本、八田さんが作曲されていますが、この曲は生松秀之さんによるものですね。生松さんは古くからのメンバーでシンセ担当ということからも、YMOというのが繋がりなんですか？

八田：
おっしゃる通りです。彼は大学時代の軽音楽部（実際はフォークソング部という名前）の後輩で、YMOが好き、ということで意気投合してバンドを組んでいました。中学時代からYMOのコピーバンドをやっていたそうで、すでにたくさんシンセを持っていたんですね。それから、元AKAIのエンジニアで、AKAIの名だたるサンプラーなどは彼が開発に関わっているんです。そういうバックグラウンドがあるので、打ち込みとかも慣れていて、QVのテクノ担当です。僕はギターなのでどうしてもああなっちゃうんで、本当は彼にはテクノ要素の強い曲をもっと作ってほしいんです(笑)。