中国生まれのデザイナーズブランドの聖地
600メートルほどの通り、富民路にひっそりと佇んでいます。3階建ての一軒家のショップです。(写真提供/棟梁)
老洋房と呼ばれる古い洋風の家をリノベーションした一軒家のセレクトショップです。インターホンを押してから中に入ります。
ここは、中国で生まれた最先端のデザイナーズブランドを揃えるショップとして有名です。
1号店は北京にあり、2009年に元グラフィックデザイナーたちが開きました。上海店は規模を拡張し、ショップそのもののデザインもグレードアップさせて2011年にオープン。
実は今、中国ではファッション界がとても盛り上がっています。アレキサンダー・ワンやヴェラ・ウォンなど欧米で活躍する中国系デザイナーが注目されているほか、海外で勉強した実力のある若い中国人デザイナーが次々と自国を拠点にブランドを立ち上げているのです。パリコレクションやロンドンコレクションなど、海外のファッションウィークに参加するブランドも増えています。
質の高い最先端のブランドをラインアップ。何度訪れても新しい発見があります。(写真提供/棟梁)
ヨーロッパでも評価が高いUma Wangのほか、有名人のファンが多いChictopia、若い人に人気のMs. Ming、Fake Natooなど。レディスウェアを中心に、バッグやアクセサリー、シューズ、メンズウェアまで、洗練されたインディーズブランドが揃います。中国の元祖スーパーモデル・呂燕が手がけるレディスウェアComme Moiも、上海では現在のところこのショップだけで扱っています。
面白いのはショップ自体がデザイナーを育てる役目も果たしていること。毎週のように来るという売り込みに対応している上、新人デザイナーを発掘するFresh Airというプロジェクトも開催。ブランドや商品の構成は常に吟味され、不定期に入れ替わります。
世界のファッション界の大物も訪れる
木を生かした温かみのある店内。1階には中庭もあり、ゆったりとした空間で買い物を楽しめます。(撮影/長舟真人)
たとえばイタリア『VOGUE』誌の編集長フランカ・ソッツァーニや、Gucciのクリエイティブディレクターであるフリーダ・ジャンニーニ、Tod'sグループの経営者ディエゴ・デッラ・ヴァッレなど。フランカ氏は「富民路というこの小さなストリートが大好き。そこにはセレクトショップ「棟梁」があるから。フロアごとに置かれているものの雰囲気が異なり、中国人デザイナーによる多くの作品がある。私はいつもそこで何かを選んでしまう」と、コメントしています。世界の真のファッション好きが上海でチェックするスポットといえるかもしれません。欧米ブランドとコラボレーション企画を行うこともあります。
ハンドメイドのバッグやシューズも中国ブランドが揃う。吉報と保護の神を意味するという中国少数民族の言い伝えから、カラスがショップのアイコン。(写真提供/棟梁)
空間自体も静かで洗練され、まるでギャラリーのよう。ここを訪れれば現在の中国デザインの実力がわかります。まだ日本には知られていないブランドばかりなので、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
おしゃれをして出かけたい、上海のとっておきのセレクトショップです。
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■棟梁(Dong Liang) 上海店
住所:上海市静安区富民路184号
TEL:021-3469-6926
営業時間:10:00~22:00 無休
アクセス:地下鉄1、7号線「静安寺」駅より徒歩12分