年金

わかる!年金額の計算方法~2014年度はこうなる(3ページ目)

2014年度の年金額は前年度に比べて減額となりました。物価は上昇しているのになぜ年金額は減額となったのか、そのしくみを解説していきます。さらに、2014年4月以降の公的年金に関する改正事項をみていきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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その他の年金改正

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今年度実施されるおもな年金改正事項です

最後に、2014年4月から実施された年金制度の改正のおもなものをみていきましょう。

◆1.父子家庭への遺族基礎年金の支給拡大
これまで遺族基礎年金が受給できる遺族は、子のある妻または子でしたが、2014年4月から子のある夫も遺族基礎年金が受給できるようになりました。子の要件(18歳年度末未到達または障害の状態で20歳未満)及び生計維持要件(年収850万円未満)は、子のある妻が受給する場合と同様で、支給額も同額です。

◆2.国民年金任意加入者の未納期間の合算対象期間への算入
改正前、60歳未満で国民年金に任意加入して、保険料を納付しなかった期間は未納期間となりました。もし、任意加入をしていなければその期間が合算対象期間として受給資格期間に算入されるため、保険料を納付していないという点では同じであるのに不公平感があるとされていました。そのため、今回の改正により任意加入後の未納期間は合算対象期間に算入されることになりました。

◆3.繰下げ支給の取り扱いの見直し
老齢年金は、受給開始を1ヵ月遅らせるごとに受給額が0.7%増額されますが、70歳以降は受給開始を遅らせても増額されません。改正前は70歳を過ぎてから繰下げ支給の手続きを行うまでに空白の期間があってもその期間については年金が支給されず、手続を行った翌月分から年金が支給されました。改正後は、70歳までさかのぼって年金が支給されるようになりました。

◆4.未支給年金の請求範囲の拡大
公的年金は、原則偶数月に2ヵ月分が振り込まれますが、これは支給月の前2ヵ月分に相当します。例えば、8月に振り込まれる年金は6月・7月の2ヵ月分に相当します。もし、年金の受給者が8月に死亡すると、8月分の年金が受け取られないままになってしまいます。このため、死亡した受給者の遺族が代わりに年金を請求することができ、これを未支給年金の請求といいます。

これまで未支給年金を請求できる遺族は、2親等以内(死亡した受給者と生計を同じくする配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)でしたが、改正後は3親等以内(死亡した受給者と生計を同じくする配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・甥姪・子の配偶者・叔父・叔母・曾孫・曾祖父母)まで拡大されました。

◆5.産前産後休業中の保険料免除
2014年4月から、育児休業期間中だけでなく、産前産後休業中も厚生年金の保険料が免除されます。
産休中の保険料免除イメージ

 

なお、厚生年金の保険料免除を受けた期間は、保険料を納付したものとみなされるので、年金が減額されることはありません。

◆6.国民年金の保険料免除・納付猶予の取り扱い
国民年金の保険料を納付することが経済的に難しい場合、保険料の免除や納付猶予を受けることができますが、2014年4月からは2年前までさかのぼって免除や納付猶予を受けられるようになりました。免除・納付猶予については、所得要件などを満たす必要があるので、詳細は日本年金機構のHPをご覧ください。

以上が、2014年4月以降に実施されるおもな改正になります。2014年度の年金額は引き下げとなりましたが、父子家庭への遺族基礎年金の支給や、産前産後休業中の保険料免除など保険料を負担する現役世代には手厚い改正も実施されます(改正情報とその他の詳細については厚生労働省のHPをご覧ください)。

また、過去の保険料についても免除や納付猶予が適用され、未納期間になることを防ぐことができようになりました。公的年金には高齢になった時だけでなく、障害や死亡など自分にもしものことがあった場合に受給できる年金がありますが、保険料の納付や免除等を行っていなければ受給することができません。これらの制度をきちんと利用して、将来の年金だけでなく障害や死亡に備えた年金を確保するようにしましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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