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重要論点と求められるレベル1 区分所有法(2ページ目)

11月の本試験に向けて、テーマ別に問われる論点と求められるレベルについてご案内します。今回は、この試験の最も重要なテーマ「区分所有法」を取り上げます。

村上 智史

執筆者:村上 智史

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それでは、過去に出題された問題で、試験合格のために求められるレベルを確認してみましょう。

 
(1)共用部分に関する出題例 (平成24年度)
マンションに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば誤っているものはどれか。

1 マンションの建物に対して従物的な関係にある別個の建物は、法律上当然には共用部分とならない。
2 マンションの建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にある建物の附属物は、法律上当然に共用部分となる。
3 マンションである建物全体の基本的構造部分及びその構造上区分所有者全員又はその一部の共用に供される建物の部分は、法律上当然に共用部分となる。
4 区分所有権の目的とすることができるマンションの建物、法律上当然には 共用部分とはならない。

【解説】
マンションを構成する各要素(建物、建物の附属物、附属の建物)毎に、専用部分と共用部分を正しく区分できなければなりません。

<選択肢1>は、「附属の建物」(別棟の集会所など)のことを指しており、規約によって共用部分とすることができるので、法律上当然には共用部分とはなりません。 …… 正しい

<選択肢2>は、「建物の附属物は、法律上当然に共用部分となる」と言っています。建物の附属物とは、配管・配線・昇降機等の設備が該当しますが、水道・電気・ガス等の配管には専有部分に属する部分もあります。 …… 誤り

<選択肢3>は、マンションの躯体部分ならびに、共用する廊下、階段、エントランスなどを指していると考えられます。 …… 正しい。

<選択肢4>は、いわゆる「専有部分」となり得る部分を指していますから、法律上当然には共用部分にはならず、規約で定める必要があります。 ……正しい

したがって、正解は 「2」となります。

(2)管理組合法人に関する出題例(平成18年度)
管理組合の管理者と管理組合法人の理事に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約の別段の定めはないものとする。

1 管理組合に管理者を、管理組合法人に理事を置かねばならない。
2 管理組合に管理者が、管理組合法人に理事がそれぞれ複数いる場合、各管理者が区分所有者を代理し、各理事が管理組合法人を代表する。
3 管理組合の管理者及び管理組合法人の理事の任期は、2年以内としなくてはならない。
4 管理組合と管理者、又は管理組合法人と理事との間で利益が相反する事項についての訴訟の追行は、監事が管理組合又は管理組合法人を代表する。
【解説】
<選択肢1> 「管理組合に管理者を置くことができる」のであって、義務ではありません。一方、管理組合法人の理事はその法人の代表者なので、設置が必要です。 …… 誤り

<選択肢2> 管理者が「区分所有者を代理」し、組合法人の理事が「組合法人を代表する」のは、とても重要な論点です。また、管理者は管理規約上は1名であるのが一般的ですが、区分所有法上は複数の設置が認められています。 …… 正しい

<選択肢3> 管理者の任期・資格・人数には区分所有法上定めがありません。一方、組合法人の理事の場合には、人数こそ無制限ですが、任期は「原則2年」、資格は「自然人のみ」との定めがあります。 …… 誤り

<選択肢4> 組合法人に関する記述は設問の通りですが、管理組合の場合、そもそも監事に関する定めがありません。要は、管理者・監事ともに法律上は任意的機関に過ぎないのです。 …… 誤り

したがって、正解は 「2」となります。

いかがでしたか?法律の条文を暗記しただけでは、容易に正解に辿り着けないことがお分かり戴けたかと思います。

この種の試験対策としては、基本書の内容を正確に理解し、暗記する「インプット学習」と、過去問や答練による「アウトプット学習」をバランスよく行う必要があります。

一通りインプット学習が終わった後は、アウトプット学習に重点を置き、理解がまだ不十分な論点や、知識の整理があいまいな箇所がどこかを確認し、再びインプット学習に戻る、という作業を繰り返し実践することをお奨めします。
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