サン・ジェンナーロの名を冠したバロック・モニュメント3選
オノーフリオ・パルンボ《ナポリの町のために奔走するサン・ジェンナーロ》(1647年、巡礼者の聖三位一体教会内祭壇画) (c)Ewa Kawamura
■サン・ジェンナーロ門(Porta di San Gennaro)
かつてナポリの町は城壁で囲まれ、幾つかの市門を通って町の中心部へ入りました。その北側に位置する門が、このサン・ジェンナーロ門ですが、1656年のペストの鎮静化の奉納物(エクス・ヴォート)としてつくられたので、モニュメント的な意味合いも込められています。門の上部には、当代一流の画家マッティア・プレーティの筆になるフレスコ画があり、聖人たちがペストの収束を懇願する様子が描かれています。
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場所:カヴール通り(via Cavour)。地下鉄カヴール駅の目の前。国立考古学博物館から徒歩3分。
■サン・ジェンナーロのオベリスク(Guglia di San Gennaro)
細長く聳え立ち、バロック期のナポリを飾った装飾豊かなオベリスクを、グーリア(guglia)といいます。ナポリには、3つのグーリアがありますがその一つがこれで、頂上にはサン・ジェンナーロの像が載っています。建築家で彫刻家のコジモ・ファンザーゴのデザインで、1631年のヴェスヴィオ火山噴火の奉納物(エクス・ヴォート)として作られ、この噴火のときの溶岩がナポリまで押し寄せてこなかったのは、サン・ジェンナーロのおかげと民衆は信じていました。
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場所:トリブナーリ通り(via dei Tribunali)、カラヴァッジョの祭壇画があるので知られるピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会の目の前。大聖堂からは徒歩2分。
■サン・ジェンナーロの祠(Edicola di San Gennaro)
サン・ジェンナーロの祠は、サン・ジェンナーロがあらゆ災害からナポリを守ってくれたことを感謝するために、1708年に建設されました。設計は、バロック後期の建築家フェルディナンド・サンフェリーチェによるもので、灰色のピペルノ石と白大理石のコントラストが美しく、中央に置かれたサン・ジェンナーロの胸像は、彫刻家ヴァッカーロ父子による作品です。
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場所:エンリーコ・デ・二コラ広場(Piazza Enrico De Nicola)。カプアーナ城(現、司法裁判所)またはカプアーナ門から徒歩1分。中央駅からは徒歩8分。
サン・ジェンナーロの現代アート作品のあるホテル
サン・ジェンナーロのアート作品で埋め尽くされたホテルのロビー(2013年8月撮影) (c)Ewa Kawamura
ナポリの町の中心部に、サン・ジェンナーロをモチーフにした現代アート作品をロビーに置いたホテルがあります。2013年5月より、「ルネッサンス・ネイプルス・ホテル・メディテラーネオ」では、ナポリの有名アーティスト、レッロ・エスポジト氏による、カッコ良くて可愛いサン・ジェンナーロ作品が、12点も展示されていました。ホテル玄関前には、4メートル半もの高さのあるブロンズ製の巨大なサン・ジェンナーロの頭部像《サン・ジェンナーロの目》(2005年作)が置かれ、その存在感に思わず圧倒されました。
ロビーには、巨大な卵形をボディにしたサン・ジェンナーロ像、カラフルにしたサン・ジェンナーロの頭部を、透明ケースに沢山集めたもの、何本もの細長い棒の上にサン・ジェンナーロの頭が載った作品などなど。ポップな色彩で、ナポリの郷土愛詰まったアート作品が並びました。特別展終了後は、その中から2作品をホテルオーナーが購入したので、今もそれらはロビーで鑑賞することができます。
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■Renaissance Naples Hotel Mediterraneo(ルネッサンス・ネイプルス・ホテル・メディテラーネオ)
住所: Via Ponte di Tappia 25 - 80133 Napoli
TEL: +39 081 7970001
料金:135ユーロ~
こちらにもレッロ・エスポジト氏のアート作品があります>>>お土産にしたい!ナポリの超有名人さんプルチネッラ