栄養面では果物と野菜は、どう違う?
お料理に、ちょっと果物を使うと、香りも華やかで、おいしくなります。
もちろん果物でも、野菜でも、含まれる栄養素は食品やまた品種などによっても個々に違うのですが、大まかにいって、果物は野菜に比べ糖質やビタミンC、カリウム、有機酸(クエン酸・酒石酸・リンゴ酸等)が多くなります。
一方野菜は、葉菜類は葉酸などのビタミンB群を含むものもありますし、ミネラルではカリウムの他に緑黄色野菜ではカルシウムや鉄分なども含みます。
野菜も果物も食物繊維は含みますが、果物の多くはペクチンで、野菜にはペクチンの他にセミロースなども含まれます。また果物は、糖質や有機酸などは豊富ですが、ビタミンやミネラルにおいては、野菜ほど多様な栄養素は含まれていないことは理解して、偏らない摂り方をするようにしましょう。
果物に含まれる栄養成分の機能性
「健康日本21」では、野菜同様に果物を積極的に食べることを推奨する科学的根拠として、次のことを上げています。果物は甘いため、太ると思われることがあります。果物は、確かに糖質が含まれ、その主な糖質は果糖で、砂糖(ショ糖)より強く甘さを感じます。しかし、エネルギーは1gで約4kcalと、他の糖と変わりません。
- 体重コントロールに重要な役割があること
- 循環器疾患、2型糖尿病の1次予防に効果があること
- 野菜・果物は消化器系のがん、果物は肺がんに予防的に働くこと
果物は水分が多く、ケーキ等のように脂質などは含まれていませんから、100g当たりエネルギーは、スイーツと比べると低いです。また果物に豊富に含まれる食物繊維は満腹感にもつながり、うまく利用すれば、他の高カロリーのものと比べて、食べ過ぎ・カロリー過多を抑えるサポート役にもなるでしょう。
また果物は、様々な栄養素や食物繊維を含みます。この食物繊維は、血糖値の上昇を抑制する作用があります。エネルギーが低い割に、ビタミンCやカリウム、食物繊維の含量が高く、様々な栄養素がとれる果物は、日本糖尿病学会では1日1単位(80kcal)摂るようにと提案しています。
また食物繊維によって、脂質や糖質の吸収を抑えたり、吸収のスピードをゆっくりにするため、血中脂肪やコレステロールが上がりにくくなります。また他に、血中コレステロールを下げる効果のあるビタミンC、抗酸化作用のあるフィトケミカルなども、果物には含まれています。
カリウムが豊富に含まれることで、血圧の上昇要因であるナトリウムの排泄を促進し、果物が血圧を下げる働きがあるという研究報告が、日本や海外の研究でも報告され、果物を食生活の中にうまく取り入れることは高血圧予防にも有効であるといえます。
他にも、個々の果物や含まれる成分によっても異なりますががん予防に効果があることや、皮膚を引き起こす老化活性酸素を除去する、スポーツ後の疲労回復、骨粗鬆症予防、便秘予防や改善などにも役立つ可能性があるといった研究報告が見られます。
ただし、果物として食べた場合の有効性は、まだ十分ではありません。薬のような効果を過度に期待せずに、あくまでおいしくいただくことが基本でしょう。これさえ飲めば、健康になれる、病気知らず、ダイエットできる・・・、というような魔法の食べ物は、ありえません。