カラオケ/カラオケ上達方法

カラオケ大会入賞者に学ぶ、選曲と歌い方のコツ

カラオケ大会「東京カラオケグランプリ2014」が開催されました。唯野はこの大会の総合プロデューサーを務めました。今回はこのカラオケ大会をヒントに、カラオケ上級者から学ぶ、歌唱力をアピールするための選曲のコツ・歌い方のコツを紹介します。

唯野 奈津実

執筆者:唯野 奈津実

カラオケガイド

東京カラオケグランプリ

東京カラオケグランプリ入賞者

カラオケ大会での選曲のコツは?

カラオケ大会では、出場者ごとにステージで一曲を歌い、聴き手や審査員にアピールをします。歌えるチャンスは一度きりでやり直しは効きませんので、どの出場者も準備に余念はありません。ところで、こうした「一度きりのアピールのコツ」は、何もカラオケ大会のような大掛かりな場でなくとも、友達同士で行くような普段のカラオケの場でも同じように通用するものです。今回はそのポイントを紹介します。
   

カラオケ大会では、自分の声質に合った選曲を心がける

東京カラオケグランプリ」の上位入賞者に共通して見られた点ですが、どの方も、声質と楽曲との相性がぴったりで、まるで自分自身のオリジナル楽曲であるかのように自然に歌われていました。繊細な声質の方は優しくささやくように歌う曲を、透明感ある声質の方は高音が魅力的に響く曲を、太く迫力のある声質の方は低音のどっしりした重厚な曲を、というように、それぞれの特性を活かした曲をセレクトしていました。

では、逆に、声質を全く意識しない選曲をするとどうなるでしょう。

実在の歌手と楽曲とを組み合わせてみると、よりイメージがつきやすいかと思います。たとえば、Superflyさんの歌う「つけまつける」。きゃりーぱみゅぱみゅさんの歌う「愛をこめて花束を」。森山直太朗さんの歌う「女々しくて」。ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんの歌う「さくら」。…もちろんプロの歌手ですので、歌ってみれば十分に上手なはずです。しかしたとえ上手であってもおそらく、「上手いんだけど、何かが違う…」と思われるはずです。言わばこれが、声質と楽曲との「相性」というものなのです。

これを逆手に取れば、たとえカラオケが苦手な人であっても、自分の声質にマッチした選曲をすることで、ある程度の「ごまかし」を効かせることができます。つまり、「(歌はともかく)いい声してるね」というプラスの感想を持たれやすくなるのです。

自分の声質を分析するにあたっては、高めか低めかという縦軸と、細めか太めかという横軸との組み合わせで分類できれば、まずは十分でしょう。たとえば、「自分は高めで細い声質だから、繊細な歌い方をするアーティストの曲を選ぼう」といった具合に選曲を心がけると、声質にマッチした楽曲を見つけやすいかと思います。ぜひ意識してみてください。
 

歌い出しのワンフレーズで勝負を決める

「東京カラオケグランプリ」では、出場者それぞれワンコーラス(1番のみ)の歌唱にて、審査を行いました。「1番だけしか聞かないのに審査できるの…?」と思われる方もいるかもしれません。しかしながら実際のところは、1番どころか歌い出しのワンフレーズのみで、審査の大勢が決まってしまうこともまた多いのです。

多くの場合、歌っていて一番気持ちの良い箇所は、曲の「サビ」部分。なので、サビについてはみなさん非常によく練習されるものです。それゆえになおさら、曲の導入部分である「歌い出し」をどのように歌うかが勝負の分かれ目になってくるのです。

とは言え、(サビスタートの曲を除けば)歌い出しはたいてい抑えめの曲調で始まるので、サビに比べると盛り上がりに欠ける分、なんとなく「流して」歌う方も少なくありません。しかしながら実は、これは残念な歌い方なのです。

歌い出しは、言わば「第一印象」。たとえば、コンパの二次会のカラオケなど、初めてのメンバーのいる中でのカラオケであれば、歌い出しの第一声は特に注目されます。ここでもし、歌い出しをなんとなく「流して」しまったばかりに、音程やリズムや発声が不安定になったとすれば、それがそのままあなたの歌に対する「第一印象」として聴き手に残ってしまいます。ここでの第一印象があまり芳しくなければ、いくらその後のサビ等で上手に歌い上げたとしても、「『意外と』サビは良かったけど、それほどでもないね…」といった感想を持たれかねないのです。

そういう意味でも、カラオケ大会の場でもコンパの場でも、「ここぞ」という場面のカラオケでは、サビだけでなく歌い出しに自信のある一曲をセレクトすることをお勧めします。そうすると、第一印象で周りをぐっと掴むことができるかと思います。
 

カラオケ大会で優勝する歌唱力とは?

最後に、東京カラオケグランプリで見事優勝された大本康満さんに対する、審査委員長の鈴木康志先生の講評を紹介します。
「歌の上手さはもちろんですが、一番の決め手となったのは、胸に届く歌唱だったかという点。聴いていて説得力のある歌唱、胸に伝わる歌唱だったか。その点で、大本さんの歌唱は一番素晴らしいものでした」
東京カラオケグランプリ

東京カラオケグランプリ優勝・大本康満さん

「胸に届く歌唱」「説得力のある歌唱」という評価、さすが優勝者だと思います。唯野も改めて当日の大本さんの歌唱映像を見返しましたが、声質と選曲との相性や歌い出しの語り具合ももちろんながら、ワンコーラスを通して歌詞の世界観がぐっと伝わってくる、非常に優しくて温かい歌唱でした。

厳しい音源審査を通過された方々によるカラオケ大会ですので、当然「上手い」方がたくさん揃っています。その中でさらに上に行く歌唱とは、単なるテクニック的な上手さだけではない、聴き手が感動を覚えるくらい説得力のある歌唱だと、唯野も考えています。

「説得力のある歌唱」は一朝一夕では身につけられるものではありませんが、あえて一つポイントを挙げるとすると、「あまり感情を込め過ぎない」ことが大事です。たとえば、いくら失恋ソングを感情をたっぷり込めて泣かんばかりに歌ったところで、それは「悲しい気分で歌っている人が目の前にいるなあ」と思われるに過ぎません。そうではなく、聴き手が自然と悲しくなるような歌唱を目指すのであれば、歌い手はむしろ一歩引いて、「語り部」として淡々と歌うほうが、歌詞の世界観が素直に伝わる分、聴き手の胸に届きやすいのです。感情とは、他人から押し付けられるものではなく、自分の内から自然と沸き起こってくるもの。聴き手が自然と感情を覚えるくらいの「凄い」歌唱、これが「説得力のある歌唱」なのです。

カラオケに自信のある方は、ぜひとも「上手い」の先にある「凄い」歌唱を目指してみてください。聴き手の胸に届く歌唱、聴いている人が思わず感動する歌唱ができたならば、カラオケ大会で優勝する資質は十分に備わっていると言えるはずです。


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