毎年厳しさを増している最近の夏
毎年暑さを増す日本の夏
国内の夏の気温は年々激しく上昇しているように感じることが多いのですが、気象庁のデータによると日本の夏(6~8月)の平均気温は長期的には100年あたり約1.05℃の割合で上昇しているとのことです。
その数字だけ見てみると急激な気温の上昇はないように考えてしまいますが、年間の平均気温の推移を見ると1990年代以降には高温となる年が頻繁にあらわれていることが明らかで、やはり近年では気温の上昇傾向が強いものと思われます。
実際に気象庁では夜間の最低気温が25℃以上になる熱帯夜や1日の最高気温が35℃以上の猛暑日は増え、1日の最低気温が0℃未満の冬日は少なくなっていることを発表しています。
暑さだけではない夏バテの原因
このように夏の暑さは確実に厳しさを増していますが、こうした変化が私たちの身体に及ぼす影響も非常に大きいと考えることができます。暑さにより発汗量が増え体液が減ってしまう脱水状態や、それに伴う水溶性ビタミン・ミネラルの流出によって引き起こされる代謝機能の低下が夏バテの最大の原因だと考えられ、暑さが増せば増す程脱水の危険性は高まっていくでしょう。また近年では空調設備の発達により室内外の気温差が顕著になる傾向があり、これが夏バテの一因である自律神経の不調の原因だとも言われています。国内における空調設備の普及率は90%を超えていることからも、こうした原因で夏バテになってしまうことは非常に身近に起こりえると考えられます。
人間の身体は気温が上がると副交感神経の働きにより毛細血管を拡張し、汗をかいて体温を調節します。逆に気温が低下すると交感神経が働き毛細血管が収縮し、身体から熱が逃がさないようにします。
人間の身体はこうした環境への適応力を持っているのですが、冷えた室内から炎天下に出るなどすると急激な気温の変化にさらされることになり、血管の太さが急激に変わります。こうなると血圧の急激な変化が発生し、心臓にも大きな負担をかけ、身体にも疲労感やむくみなどの原因になります。
自律神経への影響も原因のひとつ
また、こうした心臓・血管への負担だけでなく、人間の身体は急激な気温の変化に適応することが難しく、頻繁に暑いところと寒いところを往復するような刺激が身体に加わると交感神経と副交感神経の働きが混乱し、体温調節機能の低下や身体のだるさ、食欲不振などの自律神経失調症に似た状態が発生してしまうと考えられています。このように、夏バテは発汗量の増加による体液バランスの乱れと、空調の影響で起こる気温の急激な変化とそれによる自律神経の混乱が主な原因だと考えることができます。
水分およびビタミンやミネラルを食事やサプリメントで補給したり、空調の温度を調節し室内外の気温差を少なくすること、羽織れる上着を常に持っておくことなどが有効な対処法と考えることができます。
こうしたことを踏まえ、東洋医学の観点から夏バテを考え症状の改善に有効であると考えられるツボについて紹介していきましょう。