WHOも認めるツボの成り立ち・起源

身体を流れるエネルギー「経絡」と中継点である「経穴」

『ツボ』の正体である経穴。WHOもその有効性を認めている。

凝っていると感じたときに押すと気持ち良い、いわゆる「ツボ」。 民間療法だと思われがちですが、世界的にも医療的効用が正しく認められている漢方医学の一つです。

2003年から日中韓をはじめとする9カ国が参加しての「経穴部位国際標準化公式会議」が開催されており、2006年にはツボの位置に関する世界基準が世界保健機関であるWHOによっても確立されています。

東洋医学の世界ではツボのことを正しくは「経穴(けいけつ)」と言います。 おそらく経穴の「穴」という文字からアナ→くぼみ→ツボという呼び名が一般的となったのでしょう。

 

「ツボ」の歴史を塗り替える大発見となるのか?

アルプスで発見されたアイスマンの復元イメージ。腰に持病があったことがわかっている。

驚いたことに1991年にアルプスの氷河から発見された5300年前の男性のミイラ、通称アイスマンの身体にも、ツボの痕跡を見ることができます。アイスマンに残された刺青の位置と、いくつかの経穴の位置とが一致していることから、考えられているよりも古い時代から経穴による治療が行われており、その起源が中国ではない可能性があることも近年では注目されているのです。

もともとは石器時代に植物や尖った石に偶然身体をぶつけると、本来あった疼痛が消えるという現象が発見され、そこから石で体表を刺激することで治療効果を得ようとする行為に発展したのではと考えられています。

さらにこれらが古代中国に考えられた「陰陽五行思想」に取り入れられ「経穴」として成立した、というのが大まかなツボの成り立ちのようです。

「ツボ」の正体である経穴と経絡の関係

一般的に「ツボ」は押すと気持ちが良いところ、身体に良い影響を与えるところ、という認識をされていると思いますが、「思うツボ」「ツボを押さえる」「ツボに入る」など、日常的な言葉の意味合いから考えても、ものごとの要点を連想させる言葉だと思います。

また道具としての「壷」で考えても、古来より大切な食糧や水などを貯蔵するなど、内部に大切なものをしまう役割を果たす道具が連想されるでしょう。こうしたことから、「ツボ」は何だか身体の大事な要点に関わっているもの、というイメージを持たれるかも知れません。

「ツボ」の正体である「経穴」とは、身体の内側と外側を通過するエネルギーが通る道と考えられている「経絡(けいらく)」の中継地点であり、エネルギーが注がれる場所であるとされています。

WHOの定義では全身のツボの数は361個。特に
  • 筋と筋の間筋と腱の間
  • 筋と骨の間
  • 関節のふくらんでいる部分
などに多く存在するとされています。

経穴について理解する上で、身体を流れるエネルギーの通り道である経絡について簡単にふれておきたいと思います。

東洋医学、特に古代中国で発展した医学の世界観では、『気血榮衛(きけつえいえ)』と呼ばれるエネルギーが経絡を通って運行することで、身体全体に栄養が行き渡ると考えられています。

身体を流れるエネルギーが通過する道である経絡の中継点である経穴は、身体内外のどこかに異常があるときに反応するため、異常がある部位の診断にも利用できるし、病変自体の治療にも利用できるという特徴があります。

こうした経絡経穴の関係を利用した診断-治療システムは2200年程前の中国において完成した世界最古の医学書の一つ『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』に登場するほど長い歴史を持つことがわかっています。