メキシコ料理界の革命、「バハメッド」の台風の目となるティファナ

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ソナリオ地区にあるバハメッド料理に特化した屋台が並ぶフードガーデン

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ティファナの地ビール「Border Psycho Brewery」(ボーダーサイコ・ブルワリー)をピーアール

アメリカの国境に近いティファナでは、日常的にサンディエゴへ通う住人が多いため、洗練されたレストラン・バーやクラブは、アメリカで楽しむもの、と捉えられていました。10年ほど前まで、ティファナは、観光客がアメリカ旅行のついでにメキシコを楽しむ町であり、メキシコ料理店やメキシコ伝統音楽を演奏するバー、ラテンクラブが主流だったのです。しかし、時代の流れとともにそれらは廃れていき、地元観光業も勢いを失いつつありました。

そんなとき、2010年頃から、地元の新鮮な素材を使った、コンテンポラリーなメキシコ料理=Baja Med(バハメッド。バハカリフォルニアと地中海をかけた造語)によるムーヴメントが起こりはじめました。
山も海も平野もあるバハカリフォルニア州に位置するティファナには、豊かな地中海性気候の恵みを受けた国内最高級ワインの産地バジェ・デ・グアダルーペや、日本にマグロを輸出するエンセナーダ港、イセエビの産地、ロサリート港といった近隣の新鮮な食材が流通しています。
今までは、地元に良質な素材があっても、主にアメリカを含む海外への輸出向けに留まっていたのですが、せっかくの地元の素材を自分たちの町へ生かそうという流れに変わってきたのです。

現在では、ティファナにバハメッドのオシャレなレストランが急増中で、日本にも輸出されているブランド「ティファナビール」ほか、地ビール産業も勢いづいています。その新しい波はアメリカ西海岸のグルメ界へも影響を与えるほど。

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バハメッドを代表するレストラン、ミシオン19のあまりに芸術的なタコのグリル (C)Mision19

観光の中心となるのは、国境から徒歩約15分以内のセントロ地区と、国境からタクシーで7分ほど(または徒歩25分)のソナリオ(Zona Rio)地区です。

セントロには昔ながらのメキシコ雑貨を扱う店が数店舗あり、メキシコ料理屋やエコノミーなホテルが多く並びます。日中よりもクラブやバーが営業する週末の夜の散策がおすすめ。

一方、ソナリオ地区は、バハメッド料理を提供するレストランやバーが集中していて、展覧会やイベントも開催される文化センター(通称CECUT)、ショッピングモール、高級ホテルが並ぶ、ティファナの最先端スポット。


おすすめのアクティヴィティ

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バハメッドの頂点に輝くレストラン、ミシオン19の店内 (C)SECTUR BAJACALIFORNIA


■地元の食「バハメッド」を楽しむ
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オーガニック素材にこだわったミシオン19の料理(C)Mision19

メキシコ最高級ワインの産地であり、シーフード、良質のビーフや乳製品、オーガニック野菜など、地元の新鮮で美味しい素材に事欠かないバハカリフォルニア州。最近では地ビールのレベルの高さでも注目を集めています。

そんなグルメな食文化を堪能できる、地元の素材を使ったコンテンポラリーなメキシコ料理、バハメッド(バハカリフォルニア+地中海料理)のレストランやバーを食べ歩きましょう。ほとんどの店が、ソナリオ地区に集中しています。


バジェ・デ・グアダルーペのワイナリー巡り
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極上ワインの試飲もできるワイナリーツアー (C)SECTUR BAJACALIFORNIA

ティファナから南へ104km、 車で1時間半のところにあるのが、メキシコを代表する高級ワインの産地、バジェ・デ・グアダルーペ。
ここでは、さまざまなワイナリーを巡るツアーが人気です。

バジェ・デ・グアダルーペへは、ブドウ園の緑豊かな夏季に行くのをおすすめします。とくに毎年8月から2週間近く開催される
ワインのブドウ収穫祭、フィエスタス・デ・ラ・ベンディミア(Fiestas de la Vendimia)は内外から観光客が訪れます。





地元ならではのグルメ土産を買う
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バハカリフォルニア州の地ビールいろいろ。エンセナーダ産のAgua Mala(アグアマラ)は特に美味しいと評判 (C)SECTUR BAJACALIFORNIA

ティファナもメキシコなのは間違いありませんが、民芸品を買う場所としてはイマイチ。かつて栄えていたセントロ地区のメキシコお土産物屋街は、すっかりさびれ、あまりいい商品がありません。民芸品はメキシコシティの民芸市場の販売価格の3割増しの値段がついています。せっかくなので、ティファナならではのグルメなお土産を購入するのはいかがでしょう。

バハカリフォルニア州のスーパーチェーン、カリマックス(Calimax) では、バハカリフォルニア産のワインや地ビールが手頃な価格で販売されています。ちなみに、21歳以上(アメリカ非在住者に限る)であれば、アメリカへ持ち込めるお酒は、ワインやテキーラといった種類に関わらず1リットルまでが免税。それ以上の量の持ち込みは税金を支払います(ちなみにアルコール度数の高いテキーラは税金を払っても最高3リットルまで持ち込み可)。テキーラやメスカルは、アメリカで買うより安いですが、ティファナは産地から遠いため、お得ではありません。

また、日本まで持ち帰るのは難しいのですが、タコスやブリトーに使うトルティージャはアメリカで購入するより、かなり安く入手できます。メキシコ北部名物の小麦トルティージャ(半生タイプで、鉄板で1分くらい温めてから食べる)は、メキシコシティでもあまり見かけないもので、もちもちして絶品です。真空パック入りも販売されています。


ティファナ独自の洗練されたクラブシーン
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2014年のフェス、オールマイフレンズの様子(C)Festival All My friends

サンディエゴからわざわざ遊びに来る人が多く、有名DJがやってくることもあるのが、ティファナのクラブシーン。メキシコのなかでも、かなりレベルが高い場所といえます。それもそのはず、ティファナを含めるバハカリフォルニア州は、グラミー賞に幾度もノミネートされるノルテックをはじめとした、メキシコのトップクラスのエレクトロニックミュージックのアーティストたちを多く輩出する土地なんです。毎年6月頃、ティファナ周辺で開催される野外フェス『オールマイフレンズ』は、海外と地元ティファナとサンディエゴのアーティストの音楽、アート、グルメのコラボレーションで注目を集めています。

また、イベントが行われるクラブやバー、アートギャラリーは、ティファナのセントロ地区に集中していて、週末はにぎわいます。平日はイベントが開催されないことが多いのでご注意を。セントロ地区のストリートアートで彩られた遊歩道、パサヘ・ロドリゲス(Pasaje Rodoriguez)には若者たちが訪れるバーが並びます。

海の国境線を眺める
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海を眺めながらくつろげる洒落たカフェやバーが多い

ティファナ市街から車で約20分のビーチは、日本の観光客がほとんど訪れない場所ですが、アメリカとメキシコの海の国境線を眺められる印象的な場所です。塀の向こうのアメリカ側のビーチには人がいなくて、ただ国境警備隊のパトカーが静かに様子を窺っているだけですが、メキシコ側のビーチは家族やカップルが憩い、物売りの人々が行き交い、とても生き生きとして見えます。

ビーチ沿いにはレストランやバーが立ち並び、週末にはバンドの生演奏も行われ、楽しむ人たちがいます。その風景からは豊かに見えるメキシコですが、 現実には、この国境を越えてまでも、アメリカへ行きたい人たちもいます。ともあれ、海の国境を眺めるのは、旅の貴重な経験となることでしょう。


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取材協力:Secretaria de Turismo Bajacalifornia、Nororu



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