企業のIT活用/システム運用管理

ネット上の自社ブランドを守る3つの方策(2ページ目)

自社サイトを立ち上げる時に考えないといけないのがドメイン名。ドメイン名はインターネット上でのブランドになります。単純に社名のドメイン名を取得するだけではブランドが守れません。では、ブランドを守るにはどうすればよいのでしょうか。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

方策1:相手を調べて交渉する

jpドメインはWhoisデータベースでドメイン名登録者がわかる

jpドメインはWhoisデータベースでドメイン名登録者がわかる

ドメイン名を登録する際、約款に同意を求められます。この約款には、将来、登録するドメイン名について争いになった場合、DRP(ドメイン名紛争処理方針)による解決に従うことが盛り込まれています。読んでいない人も多いのですが、約款に書かれています。

社名とはまったく関係のない個人や会社が既にドメイン名を取得していた場合、まずは相手側と交渉します。ドメイン名登録者はJPRSの「Whoisデータベース」でドメイン名を入力すれば相手の名前、住所、電話番号などの連絡先やドメイン名の登録年月日、更新年月日が分かります。

ただしWhois情報公開代行というのがあり、検索しても登録事業者の情報しか掲載されていない場合があります。個人でドメイン名を取得している場合、プライバシー保護の観点から代行を申し込む人も多いのですが、この場合、ドメイン名の所有権を主張することができなくなります。登録事業者の情報しかない場合は、登録事業者にWhois情報公開代行の解除請求を行い、分かった相手と交渉をします。
 

方策2:紛争処理機関に申し立てする

交渉が不調に終わったら紛争処理機関に申し立てする

交渉が不調に終わったら紛争処理機関に申し立てする

相手との交渉が不調に終わったらドメイン名登録者を相手方として紛争処理機関に申立をします。

紛争処理機関では申し立てを受けると中立公正な1名または3名構成のパネリスト(弁護士、弁理士など)が選任され裁定を行います。パネリストの指名を受けた日から14日(営業日)以内に裁定がでます。

申し立ては有料になっていてパネリスト1名の場合は18万円+消費税がかかります。jpドメインの紛争処理機関は日本知的財産仲裁センターが担当しており、裁定結果(ドメイン名、日付、移転などの結果)は原則公開されます。日本知的財産仲裁センターの「JP ドメイン名紛争処理」から過去の裁定を見ることができます。
 

方策3:ブランドをどう守るため他のドメインをおさえる

サービスやブランド名の日本語ドメインをおさえる

サービスやブランド名の日本語ドメインをおさえる

会社名のドメイン名を取得できたとしても安心していてはいけません。「abc.co.jp」は取得できましたが、「abc.jp」や「abc.com」をどうするかです。「co.jp」ドメインを取得するには企業の登記簿謄本が必要。「or.jp」ドメインも同様に非営利法人の登記簿謄本が必要で「co」、「or」の属性がつく場合、1組織1ドメインが基本となっています。

ただしネットワークサービス提供者となる「abc.ne.jp」の取得はできます。「abc.jp」のように属性がつかない場合、「.com」、「.net」などもドメインが空いていれば自由にとれます。もちろんドメインを取得するには登録料金や更新費用がかかります。

よくコマーシャルで「続きはウェブで!」と案内し、検索キーワードが表示されます。コマーシャルの前にキーワードで上位表示されるようにウェブサイトを作りこんでおく必要があります。

コマーシャル用サイト名として日本語ドメインを取得しておくのもよいやり方です。日本語ドメインとは文字通り日本語のドメインで、「法律相談.com」のようなサイト。実際、佐藤製薬では「ユンケル.jp」というサイトや総務省では「電波申請.jp」というサイトを作っています。

「ユンケル」で検索すると検索結果に表示されるドメイン名が太字で表示されるので視認性が高くなります。また取得しておかないと他の業者がブランド名にあやかって別サイトをクリックさせようとするかもしれません。防止の意味もあります。お金がかかる話でもありますが、ネット上でのブランドをいかに守るか考えておかなければなりません。
 

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