絵本/絵本関連情報

雨男率100%のてるてるぼうず『ぼく、あめふりお』

てるてるぼうずなのに雨男率100%の「あめふりお」。自信をなくしていたところにおひさまのような存在と出会って少しずつ自信を取り戻し、その存在のために一肌脱ごうと、一大決心をします。友情や優しさ、喜び、切なさ、そして希望など、たくさんの感情を伝えてくれるお話です。

執筆者:千葉 美奈子

 てるてるぼうずなのに雨男「あめふりお」

自分が行く場所には必ず雨が降ってしまうという、雨男率100%のてるてるぼうずの「あめふりお」。てるてるぼうずとしての役目も果たせずに仲間からも疎まれ、憧れのおひさまに会うために、雨の中の1人旅に出ます。

自信をなくしたてるてるぼうずが、おひさまのような存在と出会って少しずつ自信を取り戻し、その存在のために一肌脱ごうと、一大決心をします。小さくて愛らしい姿の「あめふりお」が、友情や優しさ、喜び、切なさ、そして希望など、たくさんの感情を伝えてくれるお話です。

 


あめふりお、念願のおひさまに出会うも切ない別れが……

何しろ雨男率100%ですから、おひさま探しの旅も、行く先々が雨に包まれています。どう考えたっておひさまに会うなんて難しいんじゃない?と思った矢先、向こうから「ジャッポチャッポ ジャッポチャッポ」と水たまりのしぶきを蹴り上げながら、元気に歩いてくる人影が。自信を失い切ってほおに涙の後をくっきり作ったあめふりおの前に現れた、赤い傘に黄色のカッパ姿の女の子が、あめふりおを持ち上げて顔の近くに持っていき、言いました。「わたしといっしょにあそぼうよ!」。

外でも家の中でも、雨の日ならではの遊びを2人で存分に楽しみ、雨が大好きという女の子の言葉に自信を取り戻していくあめふりお。でも、友情が芽生えたばかりの2人に、切ない別れがやってきます。女の子の願いをかなえるために、そっと姿を消したあめふりお。彼が通り過ぎた地の空に、やがて雲が切れ、青空が広がっていきます。


それぞれの個性、それぞれの役目

雨をやませるという期待に必死に応えようと、並んでぶら下がる仲間たちに疎まれて自信をなくしていたけれど、雨を楽しむ小さな存在に出会えたあめふりおは、笑顔になることができました。そして、スクッと立ち上がり背筋を伸ばし、また違うどこかへの旅に出ます。

人にはそれぞれの個性があり、それぞれの役割がある……。分かっていても、自分の思うようにならないことや、切ないことだってたくさんありますよね。おひさまのような天真爛漫な女の子とのささやかな時間の中で、自分の個性に気づき、切なさを抱えながらも自分の役割を果たす決心をしたあめふりおは、驚くほどたくましい存在になってしまったようです。雨が降る中を軽やかな足取りで歩いていくあめふりおの先には、またきっとすてきな出会いがあることでしょう!
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