意外と多い、照明のエネルギー消費量
普段の生活に電気は欠かせないもの。私たちは家庭でもかなりの電気を消費しています。だんだん暑くなってきて、エアコンを使う季節になってくると、電気代が気になります。以下のグラフは、資源エネルギー庁が平成21年度に行った調査をもとに、日本エネルギー経済研究所が世帯あたりの電気使用量を試算したものです。このグラフによると、家庭で消費する電力量の中で最も多いのは電気冷蔵庫で、約14.2%。そして、第2位が照明器具で、13.4%になっています。実は、節電のときによく話題にのぼるエアコンより、照明器具のほうが電気を使っているのです。
第1位の冷蔵庫はどこの家庭でも必要な家電製品であり、コンセントを抜くことは考えられません。無駄な開け閉めを控えるようにしても、節電するのはなかなか難しいものです。その点、照明器具は考え方や暮らし方次第では、今よりもエネルギー消費量を減らすことができそうです。
今回は、環境エネルギー総合研究所の大庭みゆきさんに、暮らしを楽しみながら、賢く節電する方法について伺いました。
照明は「意味」をもつ器具
ガイド越川(以下、ガイド):大庭さんは、エネルギーに関する講演のほかにも、多くの企業にも省エネについてアドバイスをされているということですが、一般の方々にはどのような活動をされているのですか?環境エネルギー総合研究所の大庭みゆきさん
エアコンは暖冷房するための機器ですが、あかりは部屋を明るくするだけではなく、あかりが灯っていること自体に意味があると思っています。例えば、玄関灯ひとつとっても、そこには誰もいないのにあかりをつけておくことが一見無駄に見えますけど、家族に対しては「おかえりなさい」という意味が込められているんです。
あかりが無駄か、無駄じゃないかは人によって異なるものなので、エアコンや冷蔵庫のように機能的に割り切る省エネとは違う考え方が必要です。あかりには、あかりによって何かを伝えたり、あるいは受け取ったりというコミュニケーション性があるんです。
私自身、兼業主婦ということもあって、仕事でもプライベートでも女性、特に主婦とお話をすることが多いのですが、そういった人たちから「どういったあかりを選んだらよいか」と聞かれたときは、「リレーション性」つまり、関係性で選ぶことをおすすめしています。
「リレーション性を変化させるあかり」って?
ガイド:リレーション性で照明を選ぶとは、具体的にどのようなことなのでしょうか?大庭さん:例えば、子どもが起きている間は、パパとママと子どもという「ファミリー」の関係性なので、部屋全体を明るくしてあげます。子どもが寝た後はこれが「夫婦」という関係性に変化します。少し照明を落とし、大人の時間を演出して、お互いの会話を楽しめるような雰囲気にする、といった具合ですね。
そういった点で、LEDの照明器具は色を変えられるものも多くあるので、ぴったりだと思います。調色機能を使って場の雰囲気を変えてあげれば、関係性だけでなく、空間を簡単に違う雰囲気へ変化させることが可能です。
ただ、一室多灯だと照明器具が増えるので、省エネに逆行していると感じる人もいるかと思いますが、実はそんなことはないんです。確かに照明器具代はかかりますが、100W のものを一灯つけるのではなく、10Wのものを3つ点灯させればトータル30Wですみます。こういったことを、もっと普及していきたいと思っているんです。
大庭さん:LEDは、それ自体消費電力が少ないのでとても省エネな器具なのですが、生活をシーンごとに区切ったり、家族の関係性の変化で区切ったり、その区切りごとに最適なあかりを使っていくことで、さらに省エネにつながるんです。「区切り」に使えるツールの中で、一番経済的で便利なものが、あかりです。
生活や関係性をどのように区切るかというと、要は気分を変えることなので、部屋のインテリアを変えてあげるのが最も手軽な方法です。でも、簡単に壁の色を替えたりはできませんし、カーテンを変えるのも意外に面倒ですよね。でも、LEDならとても簡単にできるわけです。
ガイド:一室一灯だったとしても、LEDのシーリングライトなら調光・調色できるものがありますし、一室多灯なら、さらにいろいろな種類のあかりが使えるだけでなく、上からだけでなく横からや下からなど、複数の場所に照明器具を配置することで、部屋の表情をさまざまに演出できますよね。
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