ストレス/家庭・育児・嫁姑・義理づきあいのストレス

「きょうだい」の葛藤が「私」の性格を決める訳

毎日何気なく一緒に過ごしている「きょうだい」は、その関係の中でたくさんの葛藤を抱えています。その葛藤がキャラクター形成に影響をもたらした結果、大人になった今でも息苦しくなっている人も。そんな「きょうだいらしさ」の呪縛から自由になるヒントをお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「しっかりキャラ」の兄姉VS「頼りないキャラ」の弟妹

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正反対のキャラクターになるきょうだいは多い

幼い頃から「きょうだいなのに全然似てないね」と言われて育ってきた人は、多いもの。器用に何でもこなせる兄や姉に対し、何をやっても不器用でのろまな弟や妹。落ち着きのある兄や姉に対し、子どもっぽく甘えん坊な弟や妹。きょうだいはおおかたこんなキャラクターに分かれているものです。

生来の気質にもよるため、すべてがこのパターンとは言えませんが、カウンセリングを通じて出会う人達も、私の友だちを見まわしてみても、多くがこの構成です。ドジな兄姉としっかり者の弟妹、というパターンも見られますが、いずれにしてもきょうだいは正反対にキャラクターになるケースが多いものです。

一般に、兄姉が「しっかりキャラ」でいるのは、幼児期に弟妹が生まれ、「赤ちゃんにお母さんを奪われる」という危機感の中で育つから。さらには、下の子の世話に追われる親が、「もう一人で遊べるでしょ」「さすが、お兄ちゃん(お姉ちゃん)ね」などと言いながら、「しっかりキャラ」にさせてしまう面もあります。本人も、「模範的な行動」(ご飯を残さずに食べる、弟妹の面倒を見る、など)をすれば、親が注目しほめてくれるので、ますます頑張ります。こうして、親に期待の期待に応えた「しっかりキャラ」を身につけていくのが、兄姉の王道です。

一方、弟妹が「頼りないキャラ」になるのは、「しっかり者」の兄姉が「何でもやってくれる」からでしょう。さらには、「上の子を早く成長させた分、下の子は甘えさせてもいいかな」という親の気持ちも影響しています。何かをやろうとすると、兄姉がすぐに助けてくれますし、親からは「お兄ちゃん(お姉ちゃん)に任せておけばいいのよ」と言われるので、弟妹は、安きに流されがちです。そのおかげで、のんびりと大らかに育ちますが、「怖いけど一歩進んでチャレンジしよう」「人に頼らず自分でやってみよう」という勇気は育ちにくくなってしまうものです。
 

兄姉と弟妹の間で繰り広げられる葛藤、ジェラシー

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お互いを信頼しつつも、葛藤も抱えるのがきょうだいの宿命

また、きょうだい間では「親の愛」を巡ってさまざまな「葛藤」が生まれるものです。幼い頃から「しっかりキャラ」を期待されて育ってきた兄姉は、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はさすがね」と言われて優越感と有能感を感じる一方で、「幼い」ということだけでかわいがられ、親を独占している弟妹に対して、ジェラシーも感じているものです。

対して弟妹は、親から注目される自分の立場に陶酔しつつも、何でも器用にそつなすこなす兄姉に、たまらなく劣等感を感じたりもしています。とはいえ、「兄姉のようにカッコよくやってみたい」と何かにトライしてみたところで、失敗ばかりですし、「まだ小さいんだからやっちゃダメ」「ほらやっぱり失敗した」などと言われがちで、自信がなかなか育ちにくいもの。幼さを理由に甘やかされてきたせいか、中途半端なところであきらめやすく、そんな自分にふがいなさも感じていたりするものです。
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