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黒の靴クリームの「色」を 深く考える Woly Viola

黒の乳化性靴クリームの「色」について、製品ごとに特徴を解説するシリーズ。今回はドイツのWolyと日本のJewelのViolaを採り上げます。両者は色の「出し方」はある意味両極端。いわばスペシャリスト的要素の高いもので、それに応じて使用目的にも違いが求められます。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

10. Woly Wax Color Classicの黒

Woly Wax Color Classsic Black

Woly Wax Color Classicの黒は非常に濃く、はっきりと主張してくる色味。日本では主にアッパーがコードヴァンのもの向けに売られていますが、もともとは傷や色落ちの補修を主目的に開発されたものです。

皆さんが普段当たり前に使っている色付きの乳化性靴クリームの「黒」を比較するシリーズ。一番初めに採り上げたM.Mowbrayの黒(以下、「モゥブレィの黒」と記します)を一応の目安に、色味や伸びそれに浸透性などをチェックしていきます。前回は多くの方にお馴染みの国産Columbusのものを採り上げましたが、どれも色味が普段見慣れている日本人の黒髪の色に近かったのは当然といえば当然なのでしょうか?

さて今回は、「色の出し方」が対照的な2つをご紹介しましょう。まずはドイツのWolyWax Color Classic。日本では主にコードヴァンのお手入れ用として売られている商品ですが、もともとは傷隠しや色褪せた靴用の、どちらかといえば着色を主眼に置いて開発され、ドイツ本国ではそちらの目的向けに販売されています。その色味は、僅かに緑みも感じられるものの、「モゥブレィの黒」に比べ明らかに濃い、いやそれどころかこれまで採り上げた黒の乳化性靴クリームの中では“最も濃く、しかもはっきりとした「黒」”です。

また、塗っていると色が「紙を染める」という以上に、「紙に乗る」感覚を受けるのも特徴でしょう。これはこの靴クリームに染料だけでなく、傷をカバーする力に優れた顔料も多く配合しているからかもしれません。また、紙に塗るとキラッと独特な反射も垣間見えるのですが、これは蝋分が結構多いのかも? いずれにせよ名前に”Wax Color”付いているだけのことはある質感で色が表出してきます。とはいえクリーム全体としては粒子が細かいのか、使い心地・紙に塗る際の抵抗感には特段のクセは感じません。

なお、染料と顔料の違いについてを以下にまとめてみましたので、ご参考までに。
染料
・水溶性若しくは油溶性で、溶媒の中で「溶解」した状態で色を出します。
・透明性を備え、素材の中まで浸透するイメージで、「透過と反射」で色合いを感じさせます。
・色を濃くすると色合いもそれに比例し暗くなります。

顔料
・不溶性で、溶媒の中で「分散」した状態で色を出します。
・隠ぺい性を備え、素材の表面をカバーするイメージで、「反射」主体で色合いを感じさせます。
・色を濃くしても明るさには染料ほど大きな変化は起こりません。

次のページでは、これとは色の出かた・出しかたが対照的なものをご紹介!
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