時間ではなく成果で評価される時代となった

時間ではなく成果で評価される時代となった

時間ではなく成果で評価する新たな労働時間制度

安倍首相が議長を務める産業競争力会議が、「個人と企業の持続的成長のための働き方改革」の柱の一つとして、労働時間ではなく成果で評価される「新たな労働時間制度の創設」を提案し、物議を醸しています。「残業代ゼロ法案」につながり、長時間労働がまん延するという批判もあります。

とはいえ、「仕事の成果が労働時間と比例していない」とか、「効率的に仕事をしている者よりも、ダラダラ残業をしている者が得をしている」という不公平感は、誰もが抱いているのではないでしょうか。

実は、現行の労働時間制度は、仕事の成果と労働時間が比例している工場労働をモデルに作られたものです。労働時間の上限規制(1日8時間、1週40時間)で労働者の健康を保護し、上限規制を超える残業を、使用者に割増賃金の支払いを義務付けることで抑制しようとする労働基準法の精神は、明治11年(1911年)に制定された工場法の時代から引き継がれています。工場法制定から100年近く経っていますから、今日の労働時間規制が制度疲労を起こしていることは確かでしょう。

新たな労働時間制度の対象は中核人材から

産業競争力会議の提言では、新たな労働時間制度の対象者を、(1)職務内容と達成目標が明確で一定の能力と経験を有する者、(2)業務目標達成に向けて、業務遂行方法、労働時間・健康管理等について裁量度が高く自立的に働く者、としています。新入社員や、労働時間で評価する方が適切な定型業務や単純労働に従事する者までが対象になるわけではありません。

一方厚労省は、労働時間制度の見直しには同意しつつも、対象者は「世界レベルの高度専門職」に限定すべきという見解を示しており、法改正までには、まだまだ議論する余地が残されています。

今回の提言は、労働時間に制約がある育児や介護を行う者や、自分のライフスタイルに合った柔軟な働き方をしたい者にとっては、時間的ながんばりではなく、生み出した成果だけで評価されるという点で歓迎すべきことです。

長時間労働を防止するための政策的な歯止めや、残業代が無くなっても実質的な賃金水準が下がらないようにする配慮は必要ですが、固定的な労働時間制度の枠組みから解放されて、よりクリエイティブに働けるような環境が整備されつつあることは、時代の変化として理解しておく必要があるでしょう。