和菓子/デパ地下・商業施設の和菓子

江戸時代のお菓子も復活!「和菓子の日」限定菓子(2ページ目)

6月16日は「和菓子の日」。制定されてから35年経ちますが、まだまだ知らない人も多いよう。そもそも「和菓子の日」とは?珍しい限定菓子もお見逃しなく!

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

たねや「吉兆嘉祥」

吉兆嘉祥

「吉兆嘉祥」7個入(864円(税込))6月16日限定。


続いては、かしこまり過ぎず、それでいてきちんとした印象の和菓子に定評のある「たねや」。滋賀県に1872年に創業した老舗和菓子店。良質な材料で丁寧に作るだけに止まらず、例えばごくシンプルな黒砂糖のお饅頭でも、ひと口大につくり小さな箱に詰め、創業当時の店名にもちなむ「末廣饅頭」という縁起の良い名を付ける見せ方の妙や、塩を効かせた大福にオリーブオイルを合わせる斬新なアイデアなどで、購買層の裾野を広げています。デパ地下の同店の店舗に吸い寄せられて、気づけば買っていたという経験を持つのは私だけではないはず。同店のお菓子はどれもさり気ないセンスが感じられ、気の利いた手土産として喜ばれます。

さて、「たねや」で6月16日限定でつくっているのは「吉兆嘉祥」(きっちょうかじょう)。こし餡を団子生地で包み、淡い紅色に染めた道明寺を亀甲に見立ててあしらったものです。甘さを抑えたこし餡は瑞々しく、すっきりとした後味。重たさのない軽やかな食べ心地は同店のお菓子に共通する魅力です。平安時代に白亀が献上されたことを吉兆として元号を「嘉祥」と改めたことに因み、白亀をイメージしたパッケージ。1と6を足した7個が納められています。

ちなみに「たねや」の「吉兆嘉祥」とは、「いが(伊賀)餅」のこと。「とらや」の「嘉祥菓子7ケ盛」にも見られます。団子生地の表面に黄色や紅などに染めたもち米を付けるのが特徴で、一説ではこれは稲の花を見立てたともいわれます。東京ではあまり見ないお菓子ですが、「たねや」の本店がある滋賀を含め、今も各地で作られています。

甘くて美味しいだけではなく、日本の歴史や文化までも伝えてくれる「和菓子」。ご紹介した和菓子に限らず、「和菓子の日」には嘉祥の儀に思いを馳せつつお好みの和菓子を楽しみ、厄払いをされてはいかがでしょう。気温と湿度が上がり、ともすると体調を崩しがちな時期。栄養たっぷりの和菓子で力を付けるというのは理に適ってもいるようです。

<店舗情報>
たねや(オンラインショップあり)
問い合わせ先電話番号:0120-559-160
(10:00~17:00  月~土)


<参考>
『事典和菓子の世界』中山圭子著、岩波書店
『和菓子ものがたり』中山圭子著、新人物往来社
参考:「和菓子の日」山王嘉祥祭と嘉祥菓子・饅頭
http://allabout.co.jp/gm/gc/220025/



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