年次有給休暇の時間単位付与、就業規則規定例
労使協定&就業規則できちんとルール化しておきましょう
第○○条
労働者代表との書面による協定に基づき、年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で次により時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休付与の対象者はすべての労働者とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下のとおりとする。
- 所定労働時間が5時間を超え6時間以下の者…6時間
- 所定労働時間が6時間を超え7時間以下の者…7時間
- 所定労働時間が7時間を超え8時間以下の者…8時間
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額とする。
(5)上記以外の事項については、第○○条に規定する、日単位の年次有給休暇と同様とする。
実務上「半日単位」年休導入も可能です!
以上、時間単位年休の導入方法が確認できましたね。一方で、企業実務をみてみると、運用で「半日単位」年休を認めている企業が多いのも事実でしょう。実は半日年休は、労働基準法では規定がありませんが、次の通達によって半日単位年休が可能とされているので、運用で認めている企業が多いのです。【S.63.3.14基発150号】
年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない(例外的に、労働者が半日単位で請求した場合、使用者は、これを半日単位で付与しても差し支えない)。
■半日の考え方に要注意!
労働基準法に規定がないので、就業規則などで取り決めることになります。所定労働時間は企業によって様々。次のように単純に半日で割り切れない場合も多いことでしょう。
(例)9時~18時が所定労働時間、途中12時~13時が休憩時間の企業では、実稼働時間は8時間ですね。
こうしたケースでは、休憩時間の前後で区分して午前休(3時間分)、午後休(5時間分)で半休とする企業が多いようです。時間数をみると差が出ますが、そもそも有給は請求によりますから、どちらを選択するかも自由です。就業規則等できちんとルール化されているのであれば差が出ても問題はありません。但し、きちんと時間数を明確に半分と規定するのであれば次のように取り決めることも考えられます。
・午前休 9時~13時(4時間)
・午後休 14時~18時(4時間)
半休を請求した日の休憩時間は、12時~13時ではなく、13時~14時に移動することと規定するのです。この例では、午前休を取った場合、その日の始業時間は14時からとすると規定するのです。また、即、休憩時間帯が始まる13時から勤務することがあり得るのであれば、その旨もきちんと規定しておきましょう。
この例の始業時間は14時起算で労働時間をカウントすることになります。実働時間が8時間を超える場合には割増賃金が必要になりますのでご留意ください。
<参考記事>
退職時の未消化有給休暇のトラブル防止策
これで納得!有給休暇の効果的消化方法
<参考資料>
時間単位年休関係資料(厚生労働省)