大規模修繕の負担は世帯あたり100万円とも・・
専門家のサポートが不可欠
以上の点から、管理組合は大規模修繕工事において、少なくとも次のような課題を潜在的に抱えているといえます。(1) 修繕を実施すべき時期をどう判断するか?
(2) 設計監理方式、責任施工方式のどちらを選ぶか?
(3) 工事業者の候補先をどこから選ぶのか?
(4) 発注金額の妥当性をどう判断するか?
(5) 修繕積立金が不足する場合にどう対応するのか?
しかしながら、専門知識や実務経験の乏しい管理組合が、これらをすべて自力で解決していくことは至難の業ですから、利益相反の立場にある管理会社のほかに、信頼できる専門家による支援が不可欠になってきます。
マンション管理士が果たすべき役割
そこで、マンション管理士としては、工事を請け負う施工業者や管理会社とは一線を画す立場から、管理組合の負担と資産価値のバランスを最適化する方向でサポートしていくことが求められます。具体的な役割としては、以下のような業務での貢献が考えられます。
・ 建物・設備の劣化状況を見極める調査診断の実施の提案
・ 修繕積立金の増額を含む、長期修繕計画見直しの提案
・ 信用と実績のある設計会社や施工会社の紹介
・ 適正な工事価格で発注できるスキームの提案
・ 施工品質や瑕疵担保責任を担保するスキームの提案
「工事は、マンション管理士の専門外」と考えるのではなく、日頃から関係筋のネットワークの構築に努めるとともに、管理組合を適切な方向に誘導できる説得力と具体的なアイデアに関する提案力を涵養することが大切と言えるでしょう。