社会保険

これで頑張れる再就職 新設「就業促進定着手当」解説

ハローワークから早期再就職者に支給される「再就職手当」。この手当に追加分手当が支給されるようになりました(平成26年4月1日~)。再就職先の賃金が前職の賃金よりも低下した場合に、前記の残日数の一部を財源として、低下した賃金を補てんしてくれる手当(正式名称「就業促進定着手当」)が始まったのです。本記事で、実務対応を確認しましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

「再就職手当」に追加の手当が始まりました!

前職より賃金が低下した場合、雇用保険から補てん金が支給されることがあります

前職より賃金が低下した場合、雇用保険から補てん金が支給されることがあります

皆様の企業では中途採用はされていますか?この場合、失業手当(「基本手当」)を受給中の人を採用することがありますね。各対象者を見てみると、ちょうど手当を受給し終わる人もいれば、残日数を残して再就職する場合など様々です。早期に就職が決まった場合、条件によっては、残日数分の一部が「再就職手当」として支給されるのをご存じでしょうか。いわば早期就職に対するお祝い金のような趣旨の手当です。

今般、この「再就職手当」にさらに追加の手当が支給されるようになりました(平成26年4月1日~)。再就職先の賃金が前職の賃金よりも低下した場合に、前記の残日数の一部を財源として、低下した賃金を補てんしてくれる手当(正式名称「就業促進定着手当」)が始まったのです。

賃金低下に対する補てん金なので実務に多大な影響を及ぼす手当です。再就職先が読者の皆様の企業だったと想定して本記事を読み進めてみてください。

再就職後の賃金が離職前より低い場合「就業促進定着手当」が受給可能!


新設された「就業促進定着手当」とは?

  • 「再就職手当」の支給を受けた人で、
  • 再就職先に6か月以上雇用され、
  • 再就職先の6か月間の賃金が、離職前(前職)の賃金よりも低い場合に、
  • 基本手当の支給残日数の40%を上限として、
  • 低下した賃金の6か月分を支給するものです

前勤務先と再就職先の賃金は必ずしも同様とは限りません。低下する場合も当然ありうることでしょう。補てんの期間は限定されますが、差額補てんは企業実務上、大変助かりますね。

支給対象となる人は?

平成26年4月1日以降の再就職で、次の要件をすべて満たしている場合です。

  • 「再就職手当」の支給を受けていること
  •  再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること(起業により「再就職手当」を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません)
  •  所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること

支給額は次の計算式で計算します!

【計算式】
離職前の賃金日額(※1)-再就職後6か月間の賃金の1日分の額(※2)×再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数(※3)

差額(低下分)を6ヶ月間補てんしてくれることが分かりますね。

※1 離職前の賃金日額とは

再就職者がハローワークから受領している、受給資格者証の1面14欄の額です。ただし、賃金日額の上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額となります。両者は毎年8月1日に改訂されることになっています。

※2 再就職後6か月間の賃金の1日分の額とは

1.月給の場合
再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180

2.日給・時給の場合
次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方
  • (a) 再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
  • (b)(再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%

※3 再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数とは

  • 原則、月給制の場合は暦日数(30日、31日など)
  • 日給月給の場合はその基礎となる日数
  • 日給制・時給制の場合は労働日数 です
次のページは、支給額の上限と具体的申請手続きの解説です。
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