骸骨寺とは
骸骨寺とは、地下にある有名な納骨堂にちなんでつけれた呼び名。正式名称はサンタ・マリア・デッラ・コンチェツィオーネ(聖母マリアのお宿り)教会といい、フランシスコ修道会から派生したカプチン修道会に属します。カプチン修道会の名称は修道服の独特な形のフード(cappuccio)からきており、森鴎外もアンデルセン作の「即興詩人」でこの教会を「尖帽僧の寺」と翻訳しています。
地下納骨堂には3700体もの修道士の骨が納められており、お布施を渡して拝観する形で見学可能でしたが、この納骨堂が博物館内に組み入れられ、2012年にカプチン修道会博物館としてオープンしました。カプチン修道会やフランシスコ修道会の歴史を知る貴重な博物館ですので、ローマのあとアッシジに行く予定のある方など、聖フランチェスコ大聖堂を見学する前にこちらを見ておくと、理解が深まるかと思います。
カプチン修道会博物館
ヴェネト通りから右の階段を上がると、踊り場の部分に博物館への入り口があります。チケット売り場ではオーディオガイドを借りることもできます。博物館内では写真撮影は固く禁じられています。(本稿で使用した写真は博物館の許可を得ています。)
博物館は8つのセクションに分かれています。修道院の歴史、修道会の歴史、カプチン修道会の聖人、儀式や日常生活で使った道具、カラヴァッジョ作「瞑想する聖フランチェスコ」、20世紀のカプチン修道士、世界のカプチン修道士(世界地図上で、日本国内の修道院数と修道士数を確認してみましょう)と展示が続いた後、最後に納骨堂にたどり着きます。
18世紀、狭いスペースに修道士をいかに埋葬するか。苦肉の策で出来上がったのがこの納骨堂。天井や壁は芸術作品のように組み合わされた修道士の骨で装飾されています。人間の死と復活というキリスト教的な考えをもとにしており、一度足を踏み入れるとその荘厳さに圧倒されることでしょう。
博物館の中に組み入れられたとはいえ、修道士の骨が納められた神聖な場所です。納骨堂入場の際は、教会入場の際と同じルールを守らなければいけません。納骨堂入口に注意書きがありますが、キャミソールやミニスカートなど肌を露出した服装では入場できませんのでご注意ください。
出口付近にはショップがあり、ガイドブック、ポストカード、聖フランチェスコの十字架「タウ」("T"の形の十字架)や骸骨グッズなどを売っています。
最後に教会を見学
カプチン修道会について学んだあとは、最後に教会を見学しましょう。右側第1礼拝堂にはグイド・レーニ作「大天使ミカエル」の祭壇画があります。同礼拝堂内、左の壁には、先ほど博物館の第6セクションで出会ったマリアーノ神父(テレビで説教をした最初の神父)の墓があります。
中央の大祭壇前床には教会建設の出資者でカプチン修道士でもあったアントニオ・バルベリーニ枢機卿の有名な墓碑「ここに眠るのは塵と灰のみ」が。また大祭壇左には、ポーランド国王ヤン3世ソビエスキーの皇太子、アレクサンデル・ソビエスキーの墓があります。
教会の開館時間は平日7:00~13:00と15:00~18:00、休日9:00~12:00と15:30~17:30です。また平日7:30と休日11時にはミサがあります。
落ち着いた雰囲気のホテル
隣接するホテル、イ・カプチーニ(I Cappucini)は2013年にオープンしました。修道院の建物を使っているため、シンプルでストイックな内装になっています。シャワーオンリーですが、歴史的建造物ならではの落ち着いた雰囲気があり、立地も抜群です。宿泊客はカプチン修道会博物館に割引料金で入場できます。<DATA>
■Museo dei Cappucini (カプチン修道会博物館)
住所:Via Veneto, 27 Roma 00187
TEL:06-88803695
開館時間:9:00~19:00 (18:30までに入場)
入場料金:6ユーロ、割引4ユーロ(18歳以下、65歳以上)
オーディオガイド:一人用4ユーロ、二人用6ユーロ(英語・イタリア語)
アクセス:地下鉄A線Barberini駅より徒歩1分
注意:地下納骨堂内には、肌を露出した服装では入場できません。