都市での生活にとって、鉄道は欠かすことのできない交通手段です。高架化や地下化が進んだ都心部などを除けば、踏切の存在自体はごくありふれた風景かもしれません。しかし、毎日の暮らしの中で頻繁に踏切を利用する場合には、その安全性をよく考えることが重要です。
内閣府がまとめた「交通安全白書」(平成25年版)によれば、平成24年における「踏切障害」の事故件数は302件にのぼり、126人の方が尊い命をなくしています(24時間死者のみの統計数値)。これには自動車や二輪車も含まれていますが、事故件数の35.8%が歩行者、13.9%が自転車等となっています。
細かな内訳は分からないものの、おそらく歩行者と自転車の大半は「近隣住民」だろうと思われます。さらに、踏切事故のうち高齢者が占める割合も高いのではないでしょうか。
また、全国的には踏切での事故件数が減少傾向にあるものの、関東運輸局管内(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨)では平成21年度以降に年々増加が続き、平成24年度は踏切事故件数が74件、死亡者数が29人にのぼりました。死亡者数を比較すると、平成24年度は平成21年度のほぼ2倍となっています。
その一方で、「改良すべき踏切道」として平成23年度末までに指定されたのが全国で34,861か所なのに対し、平成23年度中に改良が図られた踏切道は311か所にとどまっています。大半の踏切はなかなか安全対策が進まない状況でしょう。
とくに距離の長い踏切には気をつけたいものですが、購入を検討する家の近くに踏切があれば、普段の通勤・通学や買い物などでその踏切を使わなければならないのか、他の迂回手段はあるのか、渡るのに危険な踏切ではないのかなど、十分なチェックを心がけるべきです。
高齢の親と同居する予定の場合には、なおさら慎重なチェックが欠かせませんが、高齢者にかぎらず、車椅子での踏切横断、足に怪我をして松葉杖で病院へ通うとき、子どもが生まれてベビーカーを使うときなど、さまざまな場面を想像してみることも大切です。
また、郊外の住宅地などでは踏切に遮断機がない場合や、踏切を渡らなければ外出ができない場合、さらには家の庭からそのまま線路に出られてしまうような場合もあります。小さな子どものことも考えて、十分な安全対策をしなければなりません。
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