ハンドリングファンは立派にBMW
結論からいうと、i3は立派にBMWであった。これまで乗ったどのEVよりもドライブしていて楽しいと思わせるセッティングが施されていた。そこにはもはや、駆動方式云々という低レベルの話など入り込む余地もない。とにかく、運転していて楽しい。それでもう十分、これはBMWだと満足できる。
特に、前輪の接地感が素晴らしい。軽やかに動くというのに、きっちり路面を感じていられる。だから、ハンドル操作が楽しいのだ。ピタッとシャープにラインが決まって、そこに気難しさはなく、修正にも容易に応じてくれる。反応が極めてリーズナブルで自然。結果、加速も減速も、そしてコーナリングも、全てが楽しい、となる。戦前のヴィンテージカーを手に入れた暁には、絶対、コレに乗りたい! と思ったほどだ。
立体駐車場に対応するべく、車高を落としている。本国ではMスポーツ用(が、iシリーズに用意されているあたりもまたBMWらしい!)のアシをおごったという。そのため、乗り心地の硬さを指摘する向きも多かった。
確かに、ライドフィールはかなりソリッドな部類で、しかも低重心だからフラットさも強調されている。これを嫌がる人は、確かに多いだろう。もっとも、悪いと一口に言っても、例えばゴルフ場のカートのような乗り味、というわけじゃない。個人的には、短いダンピング反応ながらもきっちりとそこに粘りが利いていて、収め方も上手いと思う。硬派だが、内臓に響いて気持ち悪いというような乗り心地ではない。