“EV特有”の加速と“ブレーキ要らず”の減速

BMW i3

EVモデルは前後ともに155/70R19のタイヤを、レンジエクステンダー装備車はフロント155/70R19、リア175/60R19を装着。ラゲージ容量は260~1100リッター

BMW i3

ボンネット内に普通充電のソケットが備わる。普通充電の場合、満充電までの所要時間は約8時間

というわけで、日本ローンチ試乗会が開催される屋久島まで、はるばるやってきた。島のおよそ1/5が世界遺産に認定されており、通常時の電力供給は水力発電に限られている。要するに、屋久島をEVで走れば、CO2フリーのモビリティが実現する。BMWの威信がかかったEVの走りを日本で初めて披露するにあたって、これ以上の場所はないというわけだ。

試乗会のため、ホテルにはBMWiブランドデザインの普通充電器が5機も新たに設置され、われわれの試乗を待ち受けていた。充電はフロントフードを開けて行なう。つまり、充電中はフードが半開き(半ドア状態)になってしまうわけだが、その状態でもロックが掛かる仕組みのため、いたずらなどの心配はない。
BMW i3

個性的なインテリアデザイン。随所にケナフを用いたベーシックなLOFT、ウッドやレザーなどを使ったプレミアムなSUITE(オプション)を用意

BMW i3

コラムシフト状に配されたダイヤル式シフトを採用。スタート/ストップボタンも組み込まれている

まずは、フルEVモデルを試乗してみる。簡素なインテリアが、初代パンダを思い出させた。いかにも再生素材らしい部分をはっきりと見せているあたり、逆にあざといと思われる方もいらっしゃるだろう。もしくは、単純に安っぽいと感じるか。いずれにせよ、普通に乗りこなすには、思想的にもちょっと高度な存在、ということかも。

個人的には、シンプルなレイアウト、最小限の計器類、さわやかなデザインに好感をもった。

BMW i3

観音開きのコーチドアを採用。センターコンソールがないため足元空間が広く、左右の移動も楽に

ピアノブラックにギラギラスイッチの羅列には辟易しているから。長くつき合えそうなインテリアの雰囲気である。

当然のことながら、無音のまま走り出す。いろんなEVに乗ってきたけれども、これだけは毎度、新鮮に感じる。クルマのプロを自認する筆者でもそうなのだから、EVがまだまだ一般的ではない証拠だ。

誰もが戸惑うのは、アクセルオフ時に生じる強い減速だろう。これは回生ブレーキを積極的に利かせているためで、街乗りならばほとんどブレーキペダルを使わずに完全停止までカバーしてしまう。右足の操作負担がかなり減るため、そうとうに運転がラクになる。のだけれども、慣れるまで少し時間がかかることと、違うクルマに乗り換えたときの操作ミスも怖い。

そのアクセルオフが意図的な減速であるとクルマが判断した場合には(ブレーキを踏まずとも)ブレーキランプが点灯してくれるものの、微速域などでは点灯しない場合もあるので、特に混み合った街中では後続車への注意喚起も気になるところ。個人的には、病み付きになるほどラクで使いやすいと思ったが、無条件で勧められるものではないかもしれない。

加速フィールは、感動的だ。ふわっと腰が浮くような加速で、いきなりトルクの波にのせられる感覚はEVに特有のもの。クルマの軽さも利いている。とはいえ、ここまでは“EVの常識”。問題は、その先にBMWらしさがあるかどうか、である。BMWらしさ、といえば、やはりハンドリングファンであること……。