許認可庁としての警察と行政書士
パチンコ、ゲームセンター、クラブ、ホストクラブ、性風俗店から、古本屋、中古車販売店などを開業する際、許認可の申請先は警察署です(正しくは、公安なのですが、書類提出先は所管の警察署になります)。これらの開業相談をしに警察にいくと、警察から根ほり葉ほり聞かれるのを嫌う人がいます。まるで取り調べを受けているようだと。自分で相談に行ってうんざりして、行政書士に依頼をする人がいます。
依頼者の中には警察を悪く言う方もいますが、許認可の種類や内容を考えると、所管庁として当たり前のことをしているように思います。まあ、職業柄、威圧的な人はいらっしゃいます。市役所も警察も同じ行政ではありますが、市役所の窓口のようにはいかないでしょう。
私は依頼を受けると、ごあいさつ、事前の電話相談、御都合伺いなど下準備をしていきます。ですから、書類を持っていくと、「あっ、先生。書類できたの」と言われて、10分かからずに終わることもあります。それを話すとびっくりする依頼者がいます。申請の相談だけで30分以上かかったからだそうです。
別に私は警察に何のコネもツテもありません。警察が書類を受け取りやすいように、法令に従い、警察の都合に合わせて、段取りを踏んでいるだけです。申請が迅速にいくのは、警察が専門家である行政書士に対して、法律の説明や書類の書き方などについての説明を省略するからです。つまり、行政書士が申請をした方が、警察も手間が省けるのです。
当然ですが、行政書士が書類を作成したら申請がすべて通るわけではありません。法の抜け穴を見つけることや無理を押し通すことが仕事ではありません。適法にかつスムーズに申請を進めるというのが仕事です。ですから無理なものは無理です。
(余談)私服警察官に呼び止められ
その日は平日でしたが、自分で休日に設定しました。初夏の日差しが眩しい昼過ぎ、事務所の片付けをしようと私服で事務所に向かいます。すると、駅校内で二人組に呼び止められました。「ちょっといいですか、警察です。隣の駅の周辺で強盗事件が起きて」
「えっ、えええ」と私は動揺を隠せません。職質を受けている。職質ですよ。職質。なまじ法律を知っているので、激しく動揺します。頭に条文が浮かびます。
職質を定める警職法2条は、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と定めているのです。
こ、これに私があてはまると!愕然として言葉が出ません。確かにかなり身軽な格好をしていますが……。求められて本人確認証を呈示します。行政書士証票です。すると、「あっ、先生ですか、失礼しました」と行ってしまいました。
「えっ、えええ」行政書士証票ってそんなに信用があるの。なぜ?警察官の先輩に行政書士が多いから? もう何とも言えない複雑な感情を抱いたまま事務所へとむかったのでした。休日が台無しです。別に警察官が悪いわけではありませんが。