管理組合の財務管理は難しい!?
しかしながら、管理委託費をはじめとする各支出項目に対して、多くの管理組合が割高な負担を強いられているのが実態です。
割高なコスト 3つの理由
その理由としては、以下の3つに集約できます。(1)管理業者に選ばれるのは、分譲会社の系列会社
多くの分譲マンションでは、新築当初の管理会社に選ばれるのは、分譲業者の系列会社というのが通り相場になっています。
つまり、分譲業者のビジネスモデルとして、分譲のみならず管理でも(そして、できれば修繕工事でも)稼ぐことがミッションとなっています。
問題は、管理組合が設立される前の段階で、事実上特定の管理会社が受託することが内定しており、他の会社が参入する余地がない点にあります。
その結果、管理委託費は受託する管理会社の「お手盛り」になり、どうしても割高になってしまうのです。
(2) 「人材」と「意欲」に乏しい管理組合
たとえ管理委託費が割高であっても、管理組合を構成する各区分所有者は専門知識や情報に乏しいのが一般的で、この問題自体を十分認識できません。
また、管理組合の理事長をはじめとする役員人事は、1~2年毎の輪番制で運営されることが多く、組合活動に消極的な方が大多数を占めています。
つまり、管理の素人であるという点に加えて、組合運営に対する参加意欲が乏しいため、問題が顕在化しにくく、そのまま放置されてしまうのです。
(3) 管理会社と管理組合は利益相反の関係
管理組合は、日常の管理事務の全部、あるいは大半を管理会社に委託しています。したがって、管理コストを適正化するには、管理会社と交渉する必要があります。
ただ、(2)の状況を踏まえると、管理会社が自ら減額を提案しない限り、適正化は実現しないことになります。
しかし、それは管理会社にとって受託収益の減少につながるわけですから、わざわざ自らの身を切ることは期待できないというべきでしょう。
次ページでは、管理コスト適正化実現のために、マンション管理士がやるべきことについてご案内します。