アスリートにおススメ！ シカ肉の栄養成分とは(3ページ目)

シカ肉の栄養成分と個性を生かした調理法

この後、シカ肉料理研究家の愛deer料理教室　林真理氏、ジビエ料理を得意とするシェフであるフレンチレストランCanard　中西次郎氏と箱根ラリック美術館　山本明男氏らによるシカ肉料理の提案、試食会が行われました。

愛deer料理教室の林真理氏は、発芽玄米で食べる鹿コンフィ丼が提案されました。シカ肉を真空低温調理され、ごはんにはビタミンB群が豊富な発芽玄米を使うことで、糖質のエネルギー代謝や疲労回復を促す働きが期待され、トレーニング後におすすめだとか。他にシカ骨ドリンク、鹿骨トマトスープ(鹿薫製ハム入り)グリシッー二添えなども提案されました。

フレンチレストランCanard　中西次郎氏は、背骨や肋骨などの骨からフォンを取ったシカ肉のリエット、真空低温調理されたシカ肉のシヴェ（煮込み）、春野菜と鹿のスープ、丹波鹿ロースのポアレと盛りだくさんで、シカ肉の個性を活かし全ての部位を無駄なく使い切る献立を提案されました。

箱根ラリック美術館山本明男氏の料理は、スパイスやヨーグルトを使って漬け込んだ鹿肋骨のスパイシー焼き、その応用としてスパイシー焼きからとったフォンと新人参のピュレを合わせたスープ、すね肉を使ったリゾット、炙り鹿すね肉のマリネ風。

それぞれに、鹿肉の淡白な肉質や堅い部分を柔らかく仕上げる下処理や調理の工夫、煮汁ごと食べて栄養の無駄なくいただく工夫が盛り込まれていました。

食品事業関係者、アスリート、栄養士など試食会に参加された方々は、調理法などについて熱心に質問されていました。

野生動物のシカ肉やイノシシ肉は、最も食中毒菌に汚染されやすい解体処理の段階で家畜のような法規制がないため、兵庫県ではガイドラインを策定し、その安全性の確保に努めています。今回試食に使用されたのは、兵庫県認証食品として認可された「丹波姫もみじ」。「丹波姫もみじ」は、家畜とは異なるため個体に応じて4日～1週間熟成した後、よい状態で冷凍し、おいしい肉を安定的に供給、また安全・安心を確保するため三年間トレースバックできる体制で取り組んでいるそうです。

この試食会では、アスリートに適したシカ肉の魅力と、その料理の提案にとどまらず、野生のニホンジカを取り巻く環境の問題、食資源としてのシカ肉の可能性や事業者や自治体の取り組みなど、シカ肉を切り口に幅広い視点から食と社会のつながりを考える場となりました。

関連リンク/
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丹波姫もみじ
兵庫県森林動物研究センター