記憶は忘れるのが当たり前
楽しくできる記憶術を提唱する鈴木さん
鈴木:それは……「記憶は忘れるのが当たり前」、です。
――え? なぜそれが大事な心構えになるんですか?
鈴木:この心構えを持っていると、忘れてもくじけないんです。
「忘れるのは当たり前」だから、もう1回覚えればいいんだ、となりますから。イチイチ凹まないで済むのです。
――なるほど。ほんと人間は忘れますからね。だからこそ、繰り返しが必要なわけですが。「忘れるのが当たり前」だと思っていると、繰り返しも自然なことになり、苦になりませんね。
鈴木:そうなんです。多くの人はこの心構えができていなくて、ちょっと忘れると、「なんでこんなことを覚えられないんだ……」とすぐに凹んで、大事な勉強時間を失い、やる気も失っていくのです。「自分に過信しない」ことが大事ですね。
――「自分に過信しない」ですか……。ただ、実際には過信どころか自信を持っていない人が多い気がしますが……。
鈴木:自信がないような言葉を吐いていても、実際には自分を過信している人は多いと思いますね。さっきの「なんでこんなこと覚えられない」と落ち込むのも、「1回やそこらですぐに覚えられる」と過信していたからです。
そこで、「忘れるのが当たり前」ということに気づけばいいのですが、そうはいかずに、「もっとがんばらなければ……」となることがほとんどです。つまり、過信は続いていくのです。
試験勉強では自己理解が必須
――「がんばってなんとかしよう」というのは、ある意味、自己過信の現れなんですね。鈴木:そうです。計画を立てたけれど、「計画どおりいかない……もっとがんばらなければ」なんていうこともよくありませんか?
これも実行できなかったということは、自分の実力を甘く見積もっていたということですし、自己理解が足りなかったということになります。
――おお……厳しいですね……。
鈴木:試験勉強では過去問や出題傾向といった「相手」を知ることは強調されますが、自分を知ることは軽視されていると思います。孫子も言っているじゃないですか「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と。
――では、自分の何を知ればいいのでしょう?
知るべきは自分の「○○・●●パターン」……次ページへ