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2014年公示地価は3大都市圏の過半数が上昇(2ページ目)

2014年の公示地価が発表されました。3大都市圏では住宅地、商業地とも6年ぶりの上昇となり、22年連続の下落となった地方圏でも下げ止まり傾向が広がっているようです。これからの住宅価格にも影響を及ぼす公示地価の動向について確認しておきましょう。

執筆者:平野 雅之


東京圏は上昇地点が急速に拡大

東京圏全体では、住宅地がプラス0.7%、商業地がプラス1.7%となり、いずれも6年ぶりの上昇でした。とくに東京23区は住宅地、商業地ともごく一部が横ばいだっただけで、ほぼすべての地点が上昇となっています。

住宅地の市区別平均でも、東京都は青梅市の横ばいを除いて他はすべて上昇、神奈川県は横浜市、川崎市、相模原市ですべての区が上昇となったほか、藤沢市、鎌倉市など6市が上昇でした。埼玉県ではさいたま市、川越市、所沢市など17市、千葉県では千葉市、船橋市、木更津市など9市が上昇となっています。

引き続き下落となった市では、いずれも下落率の縮小がみられ、その大半は1%未満の下落にとどまるなど、来年以降の上昇を伺う気配をみせています。

また、東京都中央区が8.7%、千代田区が6.0%、港区が5.9%の上昇など、都心部での地価上昇が目立っています。

東京圏の住宅地で上昇率が大きかった上位10地点のうち5地点を、中央区勝どき、佃、月島、江東区豊洲など湾岸エリアが占め、五輪開催決定に伴う整備への期待が表れ始めているようです。前年の上位はすべて神奈川県が占めていたのとは大きく様変わりし、今年は神奈川県が上位に顔を出していません。

商業地の市区別平均では、東京都が狛江市と武蔵村山市の横ばいを除いて、すべての区市が上昇、神奈川県、埼玉県、千葉県でも多くの市が上昇に転じています。ほぼすべての市が、下落率の縮小・上昇への転換・上昇率の拡大といったプラス方向への変移をみせるなかで、神奈川県三浦市では下落率が拡大し、座間市では上昇率が縮小しました。

東京圏の商業地における上昇率上位のうち、1位から3位を川崎市内の地点が占めましたが、中央区銀座の5地点が10位以内に入っているのが目を引きます。もともとの高額エリアでは地価の動きも鈍かったのですが、いよいよ動き始めてきたという印象もあるでしょう。

なお、全国における公示地価の最高価格地点は、前年と同じく中央区銀座四丁目(山野楽器銀座本店)でした。前年は千代田区丸の内二丁目(丸の内ビルディング)が同額で並んでいましたが、銀座四丁目が9.6%の上昇だったのに対し、丸の内二丁目は6.3%の上昇でした。


大阪圏は住宅地の回復に遅れ?

大阪圏全体では、住宅地がマイナス0.1%で6年連続の下落、商業地がプラス1.4%で6年ぶりの上昇でした。東京圏よりも地価の下げ止まりが先行した大阪圏ですが、とくに住宅地では前年あたりからその勢いに陰りがみられ、3大都市圏で唯一の下落となっています。

住宅地の市区別平均では、大阪市、堺市、神戸市、京都市がいずれも上昇となったものの、東京、横浜、川崎などのように「すべての区が上昇」という結果にはなりませんでした。

それ以外に大阪府では豊中市など9市、兵庫県では西宮市など4市、京都府では長岡京市、奈良県では生駒市など2市が上昇となっていますが、全体的には依然として下落の続く市が多くなっています。

大阪圏の住宅地で上昇率が大きかった上位10地点のうち1位と2位は大阪市内の地点でした。前年は大阪市が1地点もありませんでしたから、中心部での上昇傾向が強まっている点は東京圏と同じかもしれません。

商業地の市区別平均では、大阪市が最も大きな上昇となったほか、上昇率上位10地点のうち9地点を大阪市(残る1地点も大阪府吹田市)が占めています。大阪市よりも他の市での上昇が目立った前年とは大きく様変わりしているようです。


名古屋圏は最も高い伸びに

3大都市圏の中でも地価の下げ止まりが早く進み、前年は唯一、住宅地が横ばいとなった名古屋圏ですが、今年は住宅地がプラス1.1%、商業地がプラス1.8%(6年ぶりの上昇)と、東京圏や大阪圏を上回る上昇になりました。

住宅地の市区別平均をみると、名古屋市では港区を除いて他の区がすべて上昇だったほか、尾張地域と西三河地域のおよそ4分の3の市で上昇となりました。ただし、犬山市と常滑市で下落率が拡大、碧南市と刈谷市、安城市で上昇率が縮小するなど、比較的好調な名古屋圏も一様に上昇傾向が強まっているわけではありません。

また、名古屋圏の住宅地における上昇率の上位10地点はすべて名古屋市内ですが、平均では名古屋市より日進市、みよし市、豊明市など東側エリアのほうが大きな上昇を示しています。

商業地では、名古屋市中村区椿町が全国トップの上昇率(12.0%)となりました。JR名古屋駅の「裏側」ともいえる西口エリアが大きく上昇したことで、リニア中央新幹線の開業も含めた今後の開発が注目されているようです。また、名古屋圏の商業地における上昇率の上位10地点もすべて名古屋市内となっています。

商業地の市区別平均でも、名古屋市は港区が唯一の下落となったものの、全体的に上昇傾向が強まっています。ただし、住宅地と同様に知多市では下落率の拡大、刈谷市と安城市、みよし市では上昇率の縮小がみられました。


地方圏は22年連続の下落

地方圏の平均では、住宅地がマイナス1.5%、商業地がマイナス2.1%でした。下落率は4年連続で縮小していますが、1993年から22年連続の下落で、依然として厳しい状況が続いています。

人口10万人以上の市で平均が上昇したのは、住宅地で札幌市、仙台市、宮城県石巻市、福島県福島市、郡山市、いわき市、静岡県三島市、愛知県豊橋市、滋賀県大津市、草津市、兵庫県明石市、福岡市、福岡県春日市、熊本市、沖縄県那覇市、浦添市の16市で、前年の4市からは大きく増えました。

商業地も同様に、札幌市、仙台市、宮城県石巻市、福島県郡山市、いわき市、茨城県つくば市、岐阜県多治見市、浜松市、静岡県藤枝市、愛知県豊橋市、豊川市、三重県伊勢市、滋賀県大津市、草津市、兵庫県明石市、広島市、福岡市、沖縄県那覇市、浦添市の19市が上昇で、前年の6市から増加しています。

住宅地における全国の上昇率上位10地点のうち8地点を宮城県石巻市、仙台市、福島県いわき市が占め、石巻市の地点は全国で最も高い上昇(15.1%)となりました。

これは震災後、住宅の移転需要などを背景に2012年の公示地価からずっと続いている傾向ですが、今後の復興にも少なからず影響を及ぼすことでしょう。極端な「急騰」はみられなくなったものの、住宅移転の支障にならないことを願いたいものです。


住宅地の上昇はペースダウン?

3大都市圏では地価の上昇傾向が定着し、地方圏でも下げ止まり傾向が進みつつあります。しかし、いまのところ2007年から2008年にかけて表れたような地価の高騰はみられず、比較的落ち着いているといえるでしょう。

基準地価(7月1日時点)との共通地点における半年ごとの変動率をみると、商業地ではすべての圏域で後半(2013年7月1日~2014年1月1日)に上昇率が拡大(地方圏は下落率が縮小)しているのに対し、住宅地では東京圏と名古屋圏が前半、後半とも同じ上昇率で、大阪圏が後半にほんの少し上がっているだけです。

今年4月の消費増税がどう影響するのか、今後の景気や住宅需要に先行き不透明感が残り、住宅地ではまだ本格的な地価回復軌道には乗っていないようです。


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