バレエ/大人のためのバレエ

プリエの新常識「第三のプリエ」のすすめ

大人からバレエを始めた大人リーナにとって、上手くこなせないものの一つにドゥミ・プリエがあります。これは、単に膝を曲げる動作ではありません。ジャンプの開始と終わりの、上体の美しいポジションを支えるために絶対に必要な立派なテクニックです。でも現実は、ジャンプの開始と終わりでかかとが上がりがちです。床にかかとをつけて十分に押してからジャンプするようにと言われているのに…。さぁ、何か対策が必要です。

執筆者:石島 みどり

大人からバレエを始めた生徒さんの動きを見ていると、プリエが思いの外ぎこちなかったり、疎かにされてしまったりしています。頭でわかっていても改善されない所を見ていると、どうやらドゥミ・プリエの前段階のテクニック習得が必要のようです。

そこで、新しいプリエを導入してみたら、大人の生徒さんのプリエの質が一気に高まることが分かりました。それをここでご紹介します。

古典的なバレエの指導法には出てこない全く新しい概念なので、詳しく説明していきましょう。


第三のプリエ

プリエの質を向上させる「第三のプリエ」

プリエの質を向上させる「第三のプリエ」

皆さんご存知の通り、プリエは2種類あります。ドゥミ・プリエとグラン・プリエ。ドゥミ・プリエは半分のプリエ、グラン・プリエは大きいプリエ、という意味です。

ドゥミ・プリエは股関節と脚で作る角度が45度、グラン・プリエのそれは90度。本当ですね。ドゥミ・プリエはグラン・プリエの半分ですね。

この角度を使った説明は、数学的な話しです。そこで、グラン・プリエとドゥミ・プリエの間を取るとどうなるでしょうか?そのときの股関節と脚で作る角度は22.5度です。ドゥミ・プリエの半分。グラン・プリエの半分の半分。つまり、1/4のプリエになりますね。そこでこれを、「クォーター・プリエ」と名づけます。これでプリエの種類が3つになりました。

ここに出てきたプリエを、角度の深い順に並べると次のようになります。

1. グラン・プリエ(4/4)
2. ドゥミ・プリエ(2/4)
3. クォーター・プリエ(1/4)

ここでプリエの目的について少し立ち返って説明します。

プリエを練習する目的の一つは、ジャンプでの始めと終わりの動きとして必要だからです。ジャンプを始める時と終わる時に、膝の曲げ伸ばしを利用するために必要なのです。

例えば1番からのタン・ルヴェ・ソテの場合。

1. 脚を伸ばした状態から
2. 膝を曲げます (第1段階のプリエ)
3. 更に膝を曲げます (第2段階のプリエ)
4. ジャンプします
5. 着地します (第1段階のプリエ)
6. 膝を更に曲げてプリエを完成させます (第2段階のプリエ)


上記で出てくる 「第1段階のプリエ」 の股関節と脚で作る角度は22.5度。これが「クォーター・プリエ」です。「クォーター・プリエ」からドゥミ・プリエを通ってジャンプし、「クォーター・プリエ」からドゥミ・プリエを通って着地します。

このように 「クォーター・プリエ」 という概念を持つと、プリエの理解が深まります。そしてその理解が動きの質を向上させます。

ぜひ実際のレッスンで、プリエの動きに応用してみてください。

◎ 「クォーター・プリエ」 の注意点!
クォーター・プリエからドゥミ・プリエに入るときは、急激に動かすのではなく、ゴムのように膝でその衝撃を吸収させながら使いましょう!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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