上海の洋館で味わう、無農薬食材の中国料理

外観

3階建ての洋館。風格のある佇まいです。


『致真会館』は一戸建ての洋館レストラン。淮海中路という通りに面したホテル南鷹飯店の少し奥に建っています。ダイニングは19室の個室のみ。1998年に設立された致真酒家というレストラングループのなかで、最もグレードの高いお店になります。創業者の徐家華氏は香港で成功をおさめた実業家。子どもの頃に故郷の上海で食べた味が忘れられず、上海でレストラン事業を始めたとか。高級上海料理をメインに、広東料理も出しています。

このレストランの最大の特徴は、食材の大部分を自社で作っていること。2008年に江蘇省・宝應と浙江省・磐安の2ヵ所に、10万平方メートルを超える農場を設置しました。国際基準の有機農法に則り、汚染されていない土壌で農薬や化学薬品を使わずに食材を作っています。

豚

頭と尾の毛が黒い豚、「金華両頭烏」。(写真提供:致真会館)

作っているのは野菜だけではありません。なんと豚や地鶏、川エビや上海蟹(!)も自社で育てています。なかでも自慢は「金華両頭烏」という豚。頭と胴体で異なる毛の色を持つ高級豚で、金華ハムに使われることでも有名です。良質な飼料を与え、緑豊かな土地で10ヵ月以上かけて飼育しているそうです。また、海抜1200メートルの山地に天然の陰干しスペースを設置し、上海料理によく使われる塩漬け肉「鹹肉」も手作り。海鮮類は厳選したものを漁業家から直接仕入れています。

個室

19室の個室のみ。部屋ごとに雰囲気も異なります。

初めは業者から食材を仕入れていたという同店ですが、味と安全性を確実に求めていった結果、現在の方法をとることになったとか。理想にかなう食材がないから自ら作ってしまうなんて、スケールが大きいと思いませんか? 作った食材は外部に販売せず、自社グループのレストランだけで使っているそう。グループのなかでも最高の食材が集まるのが、ここ『致真会館』なのです。



素材の旨みをいかしたシンプルな料理

紅焼肉

つややかな脂身ときめの細かい肉質が特徴的な「両頭烏紅焼肉」。168元。


このお店には一店舗だけで30人も料理人がいますが、そのトップに立つのが40代の丁金喜料理長。上海料理だけでなく、広東料理や四川料理も習得している多才なシェフです。安徽省の山あいの町で育ち、幼い頃から自然本来の恵みの味を舌に刻み付けてきたといいます。「素材がいいので、シンプルかつ丁寧な料理に仕上げていくこと」を大切にしているそうです。

エビ料理

新鮮なエビを使った「元宝煎紅蝦」も人気の一品。128元。

看板料理は「金華両頭烏」の三枚肉を使った「両頭烏紅焼肉」。「紅焼肉」とは代表的な上海料理のひとつで、豚の角煮に近い料理。この店では醤油や紹興酒で2時間以上かけて煮込んでいます。また、天然エビを揚げ炒めし、ほんのり甘く味をつけた「元宝煎紅蝦」も人気メニュー。肉厚のエビは時間が経っても旨みが損なわれません。


食材が自慢のお店ですので、訪れた際はぜひ季節のメニューも試してみてください。秋の上海蟹のほかにも、春には筍と鹹肉のスープ「■(酉へんに奄)篤鮮」、5月頃には「鳳尾魚」を使った前菜など、上海ならではの旬の味覚が楽しめます。また、メニューにはないのですが、特別料理の「蟹粉麻辣豆腐」(カニ味噌入りマーボー豆腐)や、「黒松露河蝦仁」(黒トリュフと川エビ炒め)は丁シェフらしい一品。高級食材を使っていても、華美ではなく実直な印象の味わいがあります。


春巻

「黄魚春巻」。ここの春巻はかなりおすすめ。おいしいです。(撮影:周少鏗)

食の安全問題が何かと取り沙汰される中国ですが、上海ではその問題に呼応するように質の高い食材を使う高級レストランが増えているのが現状です。客単価が800~1000元もする店も現れているなか、『致真会館』は一人300(約5000円)~500元ほど。高額ではありますが、コストをかけている割には良心的な価格といえます。オーガニックレストランが流行する前から真摯な姿勢で食材に向き合ってきた同店。その取り組みが最近地元メディアに改めて取り上げられ、再び注目を集めています。

このお店の料理には派手なインパクトはありませんが、しみじみとしたおいしさが感じられます。安心、安全の中国料理を求めるなら、このレストランはおすすめです。

<DATA>
致真会館(Zhizhen Huiguan)
住所:上海市徐匯区淮海中路1726号 
TEL:021-6433-2882
営業時間:11:00~14:00(13:30L.O.)、17:30~21:00(20:30L.O.)
アクセス:地下鉄10号線「上海図書館」駅より 徒歩約8分

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