進むべき道は……、やっぱりダンス!?
井手孤独【idésolo】
(C)青木司
「ふたりの姉にインターンも女の子ばかりで、みんなに可愛いがられてた。だからどこかで“この子甘えてる”って思われてたのかもしれない。“取りあえず親元を離れろ”“男は家を出ろ”って感じだったのかな……」
高校時代は帰宅部。学校が終わると真っ直ぐアパートへ帰っては、ひとり家で音楽ばかり聴いていた。当時の流行は、カイリー・ミノーグやペット・ショップ・ボーイズなど。ヨーロピアンスタイルに憧れていたという。
「学校では友達もあまりできなくて、授業を受けていても“早く家に帰ってあの曲聴きたい!”っていう感じ。ちょうどCDが出たての頃で、家でひとりの世界に入ってましたね」
ふたりの姉は東京の美容学校を卒業し、現在は母親同様美容師として働いている。
当然のように、井手さんも美容師になるものと思われていた。
「“お前も東京で有名な美容学校に行く?”って感じだった。それがイヤで……。だけど美容師の仕事は決して嫌いではなかったし、どこかでなるんだろうなって思ってた。子供の頃は遊びで店のお姉さんをシャンプーしてあげたり、楽しいことは楽しかったですね」
井手孤独【idésolo】
(C)青木司
「まず団体行動がイヤだった。それに厳しいことで有名な学校で、ブラッシングを毎晩やらなきゃいけなかったり、朝早く起きてタオルを畳まなきゃいけなかったり、下働きみたいなことばかり。今ならそうやって成長するものなんだって思えるけど、当時は果たしてそれをやってまで自分は美容師になりたいのか疑問だった」
学校はイヤだが、実家には戻りたくない。ドロップアウト後も福岡に留まり、バイト生活に突入する。牛丼屋のオープニングスタッフとして、週に6日働いた。結果マネージャークラスに昇格し、アルバイトのシフト管理を任されるまでに。
しかしバイト生活も一年近くが経つと、「自分は本当は何をしたいんだろう?」という疑問が強く頭をよぎる。実家ではいまだに諦めずにいる母親や叔母が、地元に帰って美容師になれと言う。
「どうせまだ目が醒めてないんだろう、シャンプーだけでも手伝ってもらおうかって感じだった。それはイヤだ、何しよう……って考えたときに浮かんだのが、ダンスだった。やっぱり自分は踊ること、動くことが好きなんだとーー」
井手孤独【idésolo】(C)青木司