“空気をたっぷり運んでいるから”空荷でも乗り味がいい
ハッチバック同様にデュアルクラッチトランスミッションの7速DSGを搭載。アイドリングストップやエネルギー回生システムなども備え、JC08モード燃費はコンフォートラインが21km/l、ハイラインが19.5km/lに向上した
空荷のワゴンモデルに乗ると、昔は“空気を運んでいる感”を強く覚えたものだけれども、さすがに最近ではそう思うことはほとんどなく、逆にゴルフヴァリアントに至っては、ベース車両よりも“しっとり落ち着いて走る”と思えるまでにセットアップされている。
空気をたっぷり運んでいる、だから、空荷でも乗り味がいい。最新ワゴンは、ついに、そんな境地に達したのだ。
プリクラッシュブレーキシステム(Front Assist Plus)を標準化。衝突や追突時に自動でブレーキを作動させ車速を10km/h以下まで下げることで、対向車線へのはみ出しなどを防ぐマルチコリジョンブレーキシステムも備える
乗り心地の良さと静かさもまた、ハッチバックの美点を引き継いでいる。嬉しいことに、ライドフィールそのものはハッチバックより心なしかしっとりめだ。意地悪にも、意識を後に集中させて空荷室の存在を感じてやろうとめいっぱい“自分センサー”を飛ばしてみたが、さほどの反応はなく、むしろ、落ち着き払った走りに“余計な詮索は無用”と諭された気分である。
それゆえ、パワートレインに不足を覚えることもまずないだろう。軽妙なエンジンサウンドと小気味よいシフトアップが、気分のいい加速フィールをバックアップしている。力は十二分で、決して前輪にのみ集中するのではなく、車体の隅々にまで行き渡っているようだから、安心して踏んでいける。
高速道路での安定感は空荷でもまるで問題なく、荷物を積めばさらに落ち着くのではないか。そう期待させるに十分なパフォーマンスであった。
ガツーンと飛ばしても、ゆっくりと流していても、“オレって、いいモノを使っているよなぁ”と思わせてくれる。そんな優れた道具感こそが、ゴルフの身上であり、ヴァリアントではいっそうそれが強調されているように感じた。