よもぎに豊富に含まれる栄養素
厚生労働省の基準では、原則として可食部100g当たりカロテン含量が600μg以上のもの(一部トマト、ピーマンなどは600μg未満だが緑黄色野菜とされている)を緑黄色野菜としています。きゅうりなどは色の濃い野菜に見えますが、カロテンが少ないので淡色野菜です。よもぎは、緑黄色野菜のほうれん草と比べても、様々な栄養素が多く含まれていることがわかります。体内で必要に応じてビタミンAに変換され、粘膜を保護し、免疫力を高めるというβ-カロテンや、血行促進作用があるビタミンE(α-トコフェロール)なども含まれます。他にも多くはありませんがビタミンB群やビタミンC、ビタミンD、ビタミンKなども含んでいます。
また、よもぎは生薬として止血薬としても用いられてきましたが、ビタミンKには、血液の凝固成分の合成を促す働きがあります。またビタミンEは血流を促します。
多様な栄養成分で、女性の不調を緩和してくれるよもぎ
栄養素以外にも、様々な成分を含み、その機能性は注目されます。例えばよもぎに含まれる食物繊維は多くが不溶性食物繊維。不溶性食物繊維は便秘の予防等、有害な物質を吸着し体外に排出するなど、腸内環境の改善に役立ちます。よもぎを茹でて粉末にしたよもぎパウダーも、製菓材料売り場等で売られています。
古くから女性の冷え等によもぎがよいと言い伝えられてきましたが、こうした栄養素や成分が含まれ、役に立つことが経験的に知られていたのかもしれません。科学的な実験でも、血管の拡張作用があり冷え性改善等の報告があります。北海道立十勝圏地域食品加工技術センターのよもぎに関する研究では、試作したヨモギ茶を試飲した場合の血流改善効果を調べ、次のようにまとめています。
日頃から冷え性の自覚を持つ 20~40 代の女性6 名でお湯またはヨモギ試作茶を 200g摂取してから1 時間後の手の温度変化を測定したところ、1 回摂取しただけでも比較的軽い冷え性の被験者で著しい効果が見られた。
また、被験者全員の冷却 20min 後の手の平温度で統計処理を行った結果、お湯摂取と比較してヨモギ茶は温度が高い方向で有意差が認められ、体温戻りを指標とした血流改善効果が見られた。 重い冷え性の被験者も長期的な摂取で体質改善が期待できる可能性があると考えられた。
アレルギー体質の場合、よもぎにも注意を
このようにいろいろな作用が研究されているよもぎではありますが、国立健康・栄養研究所では、ヒトに対する有効性についての科学的なデータは十分見当たらないとし、食べる分には安全としています。よもぎの葉は繊維も多く、偏った食べ方をすることは難しいと思いますが、過度な期待はせずに、くれぐれもバランスのよい食事を基本に、春の香りを味わう食材の一つとして、楽しんでください。
よもぎは、キク科なので、キク科植物にアレルギーのある方も、ご注意ください。