記憶術/記憶術の例

受験生必見! 試験に応じた2つの記憶レベルと勉強法(2ページ目)

「覚えなければいけないことがたくさんあって……」。持ち込み可の試験はさておき、試験勉強では記憶することが不可欠であり、多くの受験生が苦闘しています。しかし、試験によって求められる「記憶」のレベルが違うことはわかっていますか? そして、それぞれの記憶レベルに適した記憶術を使っているでしょうか? やみくもに記憶に走る前に、まずは2つの記憶レベルとそのための記憶術を押さえることが必要です。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

択一式なら「常識化」

『なるほど!合格勉強術』

拙著『なるほど!合格勉強術』では「本の形」で記憶する手順を解説

マークシートで記入する形の「択一式」で求められる記憶レベルは、「再生」、「再認」のどちらでしょう?

今の質問自体がそうですが、候補を挙げられて当てはまるかどうかを考える「再認」レベルの記憶です。

これは「再生」に比べると楽に記憶できます。なので、「再認」レベルの記憶しか求められていないのに、「再生」できるまでがんばるのは時間・エネルギーのムダです。

ただし、択一式では、受験生を迷わせるような「引っ掛け」の候補・選択肢が必ずといっていいほど含まれているからです。

このため、ゼロから思い出せるようになる必要はありませんが、素早くしかも自信を持って「再認」できるレベルにまで持っていく必要があるわけです。

これを私は「常識化」と読んでいますが、言葉を見て、「こんなの常識でしょ」というレベルです。

たとえば、「お酒は20歳から」と見て、「え? そうだっけ?」とは思いませんよね。「お酒は20歳から」というのは常識化しているわけです。試験で問われる知識はこれと同じレベルにまで「常識化」する必要があります。

このためには、繰り返し問題集やテキストを読んで、それに対して自分がどれだけ素早く自信を持って反応できているかを観察して、そのスピード・確信度を高めていく勉強が求められるのです。

記述・論述式なら「本で思い出す」

一方、記述式・論述式といわれる試験では、「再認」レベルでは対応できません。

専門用語やその定義などを「再生」する、すなわち、正確に思い出し、書けることが求められるのです。

このためには、テキストを読んで、内容を理解しているだけではダメです。ほんの少しのキーワードから、それに関連する知識を正確に思い出せるよう、日頃から「読む」だけでなく「思い出す」勉強が求められます。

ただ、この「思い出す」勉強を実際にやってみると、最初はなかなか出てきません。

そのギャップに、「私は記憶力が悪いのでは……」と思う人が多いのですが、そうではありません。人間の記憶とはそういうものなのです。「くり返す」なかで初めて記憶できるようになっているのです。

必要なのは、思い出そうとして、思い出せないことと向き合いつつ、それを落ち込まずにくり返し続けることです。

そして、楽にくり返すための大きな支えとなるのが、テキストなどが必ず持っている「本の形」に関する記憶です。

ある項目が左ページ、右ページのどちらから始まっていたかや、見出しがあったかなかったか、どれぐらいの大きさの表や図が、ページのどのあたりにあったかといった記憶です。

内容とは関係ないために、多くの人が捨ててしまっているこういった記憶も使って、それを頼りにくり返し思い出すことで、だんだんと本に書かれている内容も思い出せるようになってくるのです(詳細は拙著『「1分スピード記憶」勉強法』、『合格(ウカ)る技術』、『なるほど!合格勉強術』をご参照ください)。

このようにあなたが挑戦しようとしている試験の種類と求められる記憶レベルを自覚しつつ、それぞれに合った記憶術を活用していきましょう!
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