「いくらなら大丈夫」なんてないけれど…
私立中学の教育費は年間約130万円!
学費以外にかかるコスト(中学受験塾のコスト、通う私立中学のコスト、保護者同士の交際にかかるコスト)はどれも人それぞれであることも、判断できない理由のひとつ。ともすると習い事や日用品、車種までも、周りの影響を受けコスト増という場合もあるでしょう(私立中学に入学後、お友達の家がほとんど外車を持っているため、子どもが欲しがり、結局買ってしまうなど……本当にあり得る話です)。
ガイドの知っているご家庭で、受験塾に通わずに難関私立中学に合格したお子さんもいます。この場合、小4から小6でざっと200万円以上はかかる受験塾の費用は、模擬試験とテキスト代程度で済んでいるかも知れません。このように、工夫や努力によりコストを抑えられるケースもあります。
しかしながら、「一体いくら年収があれば大丈夫なの?」という疑問を多くの方が抱いているのは事実……。そこで今回は、総務省の「家計調査年報」データに基づき、一般的な生活レベルの場合、私立中学に通わせて破綻しない年収を探ることにしました。
子ども1人なら家計月収45万円が分かれ道?
総務省の「家計調査(平成25年平均/年間収入階級別1世帯当たり1カ月間の収入と支出)」と、文部科学省の「平成24年度子どもの学習費調査」のデータを抜粋し、私立中学に行った場合の収支を試算してみました。■可処分所得層別 私立中学に行った場合の年間収支
「可処分所得」(A)は、年収から税金や社会保険料を引いた実際に懐に入ってくるお金です。そして、そこから出て行くお金を、教育関連費以外の消費支出(いわゆる生活費)(B)と、「子どもの学習費調査」の私立中学教育費(C)としました。(ご参考)の欄には、可処分所得層に応じた家計全体の税込み月収を載せています。
可処分所得層によってケースを6つに分けて試算した結果、ケース4までは収支が赤字となっており、平均的な消費をした場合、私立中学に行くとお金が足りなくなるという結果に。ケース5でも年間で貯金できる金額が8万円と心もとないため、実際にはかなり厳しいと思われます。
また、この試算はあくまで私立中学に1人だけ通わせる前提のため、2人いる場合は、当然教育費も2倍となり、ケース1から6まで全て収支は赤字になるという結果に。
それでは、年収が少ないと中学私立への進学はあきらめないといけないのでしょうか?
将来のための貯蓄ができるならOK
今回の試算は、国内の消費支出平均データを使用したため、実際には家計によって大きく結果が異なるはずです。たとえば次のような場合は、年収に関わらず私立に進学しても問題ないかも知れません。・(年間貯蓄額+現在の教育費)から私立中学教育費が出て行っても、大学の学費のための貯蓄や、老後のための貯蓄ができそうだ
・中学以降、現在の収入以外にお金が入ってくる予定がある
・教育資金贈与非課税制度を活用する予定だ
・住宅ローンの返済がそろそろ終わるので、その分を教育費に回せる
進路を考える際はこうした要素も含め、長期収支計画を立てて、無理なく教育費を捻出し続けていけるかをチェックしましょう。
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