「はるじゃの ばけつ」を準備する男の子

鮮やかなピンクの桜は、満開を迎えているようです。緑の草原の上には、風に吹かれて落ちた桜の花びらを集めている「たっくん」がいます。ばけつにたまった花びらを見て、ふうと息をつくたっくんの様子から、その作業が小さなたっくんにとっては、地道でエネルギーを使うものであることが伝わってきます。「あと、もうちょっとだ」。暖かな春の佳き日、たっくんは何のために花びらを集めているのでしょう? 興味を持って話しかけてきたたぬきに、たっくんは「はるじゃの ばけつ」を準備していることを伝えます。「はるじゃの ばけつ」とは、いったい何なのでしょうか!?


 


悪気がないたぬきのじゃまに怒り爆発!

たぬきはたっくんと一緒に、ばけつを使って遊びたくてたまりません。花びら集めではなくて、もっと刺激的な遊びがしたいようです。たぬきはたっくんに、めだか捕りにいこうと誘います。一瞬心が動くたっくんですが、断ります。「はるじゃの ばけつ」準備に忙しいからです。続いてかえるを1匹捕まえてきて、いっぱい捕まえようと誘うたぬき。たぬきに誘われるたびに「いいなあ」と子どもらしい心が顔を出すたっくんですが、やはり断って作業に専念します。そうこうしているうちに、たぬきの憎めないいたずらによってばけつがひっくり返り、せっかく集めた花びらが飛び散ってしまいます。たっくんは、たぬきが目をまん丸くして身動きできなくなるほどの剣幕で、怒りを爆発させました! 「さわっちゃだめ!」。


大好きな人に桜を届けたい

たっくんがそれほどまでに怒ったのは、もちろん必死に花びらを集めていたから。そして集めるという行動の先には、その花びらを大好きな人に届けたいという思いがあったからなのです。今咲き誇っている桜を見ることができない人もいる。そして、桜はあっという間に散ってしまう。だからたっくんは、桜の花びらをその人に届けることで、本格的な春の訪れと、自分が感じた喜びを伝えたかったのかもしれません。

楽しい誘いに負けそうになりながらも、大好きな人のためにけなげに作業するたっくんのひたむきさ、たっくんとたぬきの子どもらしいコミカルな交流が、春にぴったりの温かさとなって、絵本から伝わってきます。

たっくんに怒られてしょげかえって姿を消したと思われたたぬきも、再び姿を現します。たっくんとたぬきが作り出した花吹雪の中、体調を崩していたたっくんの大好きな人も、すっかり元気な表情になりました。たっくんの強い思いに引き込まれ、思わず心の中で、「たっくん、来年はおじいちゃんと仲良したぬきと、みんなでお花見ができるとといいね!」と呼びかけてしまいました!




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