社会保険/社会保険の基礎知識

退職者へ的確に説明したい!その後の公的年金

公的年金加入は長丁場。一定条件のもと、退職後も加入義務が生じます。今回は企業の実務担当者として把握しておきたい「退職後の公的年金」に焦点を当てました。即転職先が決まっている退職者ばかりとは限りません。退職者にその後の道筋を適切に説明することは実務担当者の責務と言えるのでしょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

退職者への的確な説明は実務担当者の責務です!

退職後のライフプランにより手続き方法が変わります

退職後のライフプランにより手続き方法が変わります

高年齢者雇用安定法の改正で、希望者全員65歳までの継続雇用が義務づけされ、実質65歳定年制の時代が到来しています。また一方で、厚生年金保険の適用事業所に転職する場合、一定条件を満たすと70歳になるまでは引き続き厚生年金保険への加入義務が生じるのはご承知のとおりです。

このように加入期間の観点からみると、非常に長丁場で公的年金と関わりを持つことが分かりますね。今回は企業の実務担当者として把握しておきたい「退職後の公的年金制度」の解説です。即転職先が決まっている退職者ばかりとは限りません。退職者にその後の道筋を適切に説明することは実務担当者の責務と言えるのでしょう。

なお、既記事「退職者へ的確に説明したいその後の医療保険」も一緒に確認し、医療と年金の包括整理をお勧めします。社会保険知識は従業員のライフプランに直結するものです。普段からアンテナを張り巡らせ情報整理に努めておきたいですね。


退職後加入する年金制度の選択肢は次のとおり

大きく次の4つの選択肢になります。

  1. 厚生年金保険の適用事業所に再就職し再加入
  2. 国民年金の第1号被保険者となる
  3. 国民年金の第3号被保険者となる
  4. 国民年金に任意加入する

(注)5つ目の選択肢
厚生年金保険では、70歳になると被保険者資格を喪失します。但しそのままでは加入期間が不足し年金受給権がない人のために、一定要件を満たすと、70歳以上でも加入期間を満たすまで任意加入する途もあります。

多くの退職者は上記4つのいずれかに該当します。以下でひとつひとつ整理していきましょう。


厚生年金保険の適用事業所に再就職(厚生年金に再加入)する

退職後、厚生年金保険の適用事業所に再就職する場合、加入手続きは再就職先が行います。また健康保険も同時加入します。事務手続き、保険料納付などは企業が行いますから再就職者の事務負担はありません。

1.再加入するための就労条件
加入条件の説明は必須です。再就職する場合、1日または1週間の勤務時間と1ヶ月の勤務日数のそれぞれが、同様の仕事をする正社員と比べて「おおむね 3/4 以上」の場合に加入することになります。3/4 以上の判断基準は、あくまでもひとつの目安。 就労形態等を考慮し総合的に判断されます。

2.加入手続き
  •  手続き先   再就職先事業所の所在地を管轄する年金事務所
  •  手続き書類 厚生年金保険被保険者資格取得届
  •  手続き期限 再就職日から 5 日以内
  •  手続き者   再就職先企業
3.保険料
毎月の給与・賞与に保険料率を乗じた額を、本人と企業が折半で負担。本人負担の保険料は給料から控除。企業負担の保険料とあわせて事業主が納付します。

次のページは、国民年金の第1号被保険者となる場合の解説です。
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