マネジメント/組織マネジメントとは

マネジメントの観点から探るJR北海道再生への道(2ページ目)

レール検査データ改ざんで昨年来揺れに揺れるJR北海道。関係部署の7割が改ざんに関与していたと言う信じられない事実が判明して、組織マネジメントそのもを根底から見直しする必要性が出てきたと感じられています。当ガイドでは、「組織の7S」的考察によりJR北海道の組織マネジメント再生への道を探ります。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド


解説

「価値観」刷新に向け求められる役員入れ替え

具体的には、「スキル」「風土(スタイル)」「価値観」が「4S」における他の要素であり、何よりも重要なものはその中心に位置する「価値観」です。この「価値観」は経営そのものであり、今回のような本来考えられない交通機関における安全性軽視という異常とも思えるケースでは、「価値観」そのものを根底から変える必要があるのです。すなわち、まずJR北海道がすべきことは経営の刷新、従来の「価値観」に染まっていない“外部の血”の導入が不可欠であると言っていいでしょう。経営トップのみならずそれを囲む役員クラスの外部からの総入れ替えなくして、「価値観」は簡単には変えられないということなのです。

「価値観」変革のおぜん立てが整ったなら、次に組織改革において先陣を切るものとして重要なものが、「ハードの3S」改革です。新経営陣の下に新たに醸成されるべき「価値観」というものは、具体的な施策を通してのみ浸透させることが可能です。いかに新たな「価値観」を解き表した立派なお題目を掲げようとも、それを浸透させるためにはその「価値観」が生きた具体的な施策を組織内に走らせることが必要です。それが、「戦略」「制度」「組織」の「ハードの3S」の各要素における改革なのです。


「価値観」→「ハード」→「ソフト」で大改革を

では上記に沿って、JR北海道に関しいかにして具体的な再生が進められるべきかですが、まずは経営陣の刷新。特に外部民間からのトップ登用と、社外取締役を多数入れての役員構成の全面的な入れ替えが必須です。それにより「7S」の中核に位置する同社の「価値観」を根底から作りかえるのです。

続く「ハードの3S」改革は、具体的にはまず部署の設置を軸とした「組織」の改編。そして、これまでおざなりにされてきた安全性重視を前面に打ち出した新たな企業「戦略」の構築。さらに改ざん等の安全性を損なうような業務態度を許さない社内「制度」の改訂も必要になるでしょう。併せて安全面を重視した研修等の「ソフト」面での改革施策を継続実施することで、安全重視は「スキル」として定着し「風土」に根付くことで、ようやく「人」の変革に至ることが出来るのです。

このように見てくると、JR北海道の真の再生に向けての道は遠く険しいと言わざるを得ません。国主導でのJR北海道の組織マネジメント的な観点からの根本改革を、期待してやみません。
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