マンション管理士と管理業務主任者の違い
マンション管理士と管理業務主任者の違いとは何なのでしょうか
「マンション管理士」と「管理業務主任者」。ともにマンション管理の国家資格であり、その学習範囲も試験形式も同じ、試験日も1週間の違いしかありません。そのため両方を受験する割合も高いようです。
試験の難易度の違いから、マンション管理士が管理業務主任者の上位資格と言われることもありますが、それは間違いです。受験準備に入る前に、両者の違いについて正しく理解しておきましょう。
<目次>
マンション管理士と管理業務主任者の業務・管轄
マンション管理士は、管理組合側の立場で管理組合にアドバイスや支援を行います。一方、管理業務主任者は、管理会社に属し、管理受託契約上の重要事項の説明のほか、受託した管理業務の処理状況のチェックから報告までの業務を担います。したがって、端的に言えばマンション管理士=管理組合の顧問(あるいはコンサルタント)、管理業務主任者=管理業者ということになります。
なお、管理組合向けの顧問・コンサル業務は、マンション管理士の資格がなくとも行えますが、未登録者がマンション管理士と名乗ることはできません。これを「名称独占資格」と言います。
管理業務主任者は、管理委託契約の締結時に、管理組合に対する重要事項説明を行う権限が排他的に与えられていますから、「業務独占資格」と称されます。
ちなみに、それぞれの資格の管轄も違います。マンション管理士の場合は「公益財団法人マンション管理センター」、管理業務主任者は「一般社団法人マンション管理業協会」となっています。資格試験の案内等は、それぞれのホームページに掲載されていますので、事前に確認するようにしてください。
マンション管理会社の設置義務の有無
管理業務主任者は、管理組合から委託を受けた管理業者に所属して初めて業務が実行できるわけですから、この資格を活かすなら、マンション管理会社に就職することになります。また、管理会社には、「成年である専任の管理業務主任者」の設置義務があります。原則として、その管理会社が受託している管理組合の数を30で除し、小数点以下を切り上げた人数の設置が求められます。(仮に受託先の管理組合が50なら、50÷30=1.7 切り上げにつき2名の設置が必要。)
一方、マンション管理士は、既に述べた通り名称独占資格にすぎないので、そのような定めはありません。
マンション管理士と管理業務主任者の資格登録の有無
登録しても、すぐに活用できない?
マンション管理士の場合、試験合格後、所定の手続きを経て登録し、ただちにマンション管理士と名乗ることができます。しかし、管理業務主任者として登録するには、試験合格の他に、2年以上の実務経験、もしくはそれに代わる登録実務講習(2日間)の修了が条件となっています。
さらに言えば、この資格を実際に活用するには登録だけでは不十分で、「管理業務主任者証の交付」を受けて、ようやく正式に管理業務主任者になれます。これは、受託先の区分所有者等からの請求があれば、主任者証を提示する義務があるためです。
なお、登録の有効期間は、両資格ともにありません。ただし、マンション管理士は5年毎に講習を受講する義務があります。また、管理業務主任者も、「主任者証の有効期間が5年」と定められているため、主任者証交付申請6か月前に行われる講習受講が必要です。
以上の3点が、2つのライセンスの主な相違点です。
なお、一方の資格試験の合格者は、他方の資格試験(いずれも全50問)のうち、マンション管理適正化法に関する出題5問が免除されるという特典があります。
このような措置もあって、両方の資格を狙う受験者の割合が高くなっていますが、管理組合に対する立ち位置等が大きく異なる点を踏まえて、ご自身の今後のキャリアとしてどちらを選択するのか検討してください。
【関連記事】