ツボ・経絡/ツボ・経絡の効果・注意点

生理痛を和らげるツボ・東洋医学による生理痛対処法(2ページ目)

月経開始前から始まり月経終了まで、下腹部痛、腰痛、めまい、頭痛、吐き気、下痢、むくみなどの多様な症状を呈する生理痛(月経痛)。毎月多くの方がお悩みなのではないでしょうか。今回は東洋医学から考える生理痛と、生理通を和らげるツボをご紹介します。

山木 伸允

執筆者:山木 伸允

鍼灸マッサージ師 / 鍼灸療法・ツボガイド

東洋医学的観点で考える月経と生理痛

東洋医学の観点では、月経を司るのは肝(かん)と腎(じん)の経絡だと言われています。

肝には身体全体を流れる血(けつ)の量を調整し、体外に漏れでないようにする働きがあると考えられています。血とは西洋医学でいう血液であり、全身に栄養を運ぶためのものであると考えられています。

さらに肝には血以外にも気(き)の流れを司る働きがあります。気は、食物により得るエネルギーである水穀の精微(すいこくのせいび)から血を生成する作用を持っています。そしてさらにその血を全身に循環させる役割を気が担っているのです。

また、腎には余剰になった体液を体外に排出する作用や、遺伝で受け継がれるエネルギーである先天の精気(せんてんのせいき)を貯蔵する、食物から得た気が余った時にも腎で保管するなどの働きをします。このように腎に蓄えられる気が天癸(てんき)という生殖器を司るエネルギーの源になるのです。この天癸が男性であれば精液を、女性であれば月経を発生させると考えられています。

つまり東洋医学における月経の仕組みは、肝の働きにより血が循環し、腎の働きで古くなった血が体外に排出されるという様に考えることができます。

東洋医学の観点では、生理痛は肝と腎の二つの経絡のバランスが崩れることで発生すると考えることができます。主に寒邪の体内への侵入や過労による気の不足、過剰なストレスによる怒(ど)の感情の増加などにより肝と腎のバランスが崩れ、血が体外に排出されなくなることが生理痛の原因と考えることができます。

東洋医学的な生理痛の分類・生理痛に効くツボ

これらのことを踏まえ、東洋医学における生理痛の分類と対応するツボについて紹介していきましょう。生理痛は、肝と腎のバランスの崩れが原因となりますが、大きく以下の2タイプに分類して考えられています。当然1と2のタイプが混在している場合もありますので、ご自身の症状に合わせてどのツボが有効かを考えてみましょう。

  1. 肝鬱気滞(かんうつきたい)……月経前から症状がある
  2. 寒凝(かんぎょう)……身体が冷え、温めると楽になる

■肝鬱気滞タイプの生理痛に効くツボ
肝鬱気滞タイプの場合、ストレスにより肝と同じく木(もく)の性質を持つ怒が過剰になり、肝の機能が低下することで血の流れが停滞してしまうことが原因と考えられています。

陽陵泉には気の流れを改善する効果があるとされる

陽陵泉には気の流れを改善する効果があるとされる

こうした場合には、膝の外側の少し下の骨の隆起(腓骨頭)の前側かつ下のくぼみにあり、全身の気の流れをスムーズにする効果があるという陽稜泉(ようりょうせん)をマッサージすることで症状を軽減することができると考えられます。

 

体液の流れを整えると言われる三陰交

体液の流れを整える効果があると言われる三陰交

また、全身の体液の循環に深く関わる肝・腎・脾の3つの経絡が交差している三陰交(さんいんこう)を刺激することにより体液の循環を改善することができると言われています。三陰交は脛の骨の後ろ側にあり、内くるぶしから指幅4本分上のところにあります。

 

■寒凝タイプの生理痛に効くツボ
寒凝タイプの場合、体内に侵入した寒邪が原因ですので、「東洋医学からみるインフルエンザとツボによる予防法」でも紹介した、首の付け根にあり身体に流れる陽気を回復させる効果があると言われる「大椎」をマッサージすることが有効だと考えられます。

気海を温めることも生理痛には効果的と考えられる

気海を温めることも生理痛には効果的と考えられる

また、腎の経絡のエネルギーを補い、身体を温める効果があると考えられている気海(きかい)をお灸やカイロなどで温めることも有効でしょう。気海はヘソの真下、指幅二本分のところにあります。

適切な運動習慣や食生活、規則正しい生活リズムを身につけて心身を健康な状態に保つことや、専門医に相談することがまずは大切ですが、こうした東洋医学の観点から症状を軽減することも有効だと言われています。ぜひ、ためされてはいかがでしょうか。
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