幸せな余韻を残す雪物語『雪の日のたんじょう日』
降り積もる雪を背景に、成長する子どもの姿を描いた美しい絵本
降る雪を見て高まった嬉しさが、わずかな間に落胆に代わって、泣き出しそうなスティーブン。来客の手前もあって、精いっぱい我慢をするものの、彼が心底がっかりしているのは明らかです。そんなスティーブンの心情に、彼を見守る家族や来客の優しさが織り込まれ、美しい織物のような物語に仕上がっています。お話の合間には、雪の天使の作り方や、雪深い時の小鳥や小動物への餌のやり方などが、物語のアクセントとして散りばめられていて、読者を飽きさせません。
また、いつもながら愛らしさの中に品格を感じるバーバラ・クーニーの絵も、幸せな余韻を残す物語にピッタリで、ページをめくる手さえ楽しく弾んでいるように感じられます。そして、迎える結末は、素敵なサプライズが用意された正真正銘のハッピーエンドです。
しかも、そのラストはただ「めでたし、めでたし」というだけではありません。「ああ、なんていい雪なんだろう! なんていい誕生日なんだろう!」人の優しさに触れ、成長したスティーブンのそんな言葉に、読者はきっと胸が熱くなるに違いありません。私たちからも、心を込めて伝えたくなります。「スティーブン、お誕生日おめでとう!」と……
【書籍DATA】
ヘレン・ケイ:作 バーバラ・クーニー:絵 あんどうのりこ:訳
価格:1575円
出版社:長崎出版
推奨年齢:6歳くらいから
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※「 2月 心が温かくなる5つの雪物語」 でも、『雪の日のたんじょう日』をご紹介しています。