注文住宅/家づくりを始める前に・心構え・トレンド

併用住宅市場、盛り上がる7つの理由(2ページ目)

大手ハウスメーカーを中心に、自宅・賃貸・店舗などの併用住宅市場が盛り上がっています。消費税駆け込み反動により一戸建では各社やや苦戦を強いられている中、次なる旗手として期待されているのが、相続税対策等の切り札が使える「併用住宅」。相続税以外にもトレンド期待の様々な要因があるようです。ポイントを7つに絞って見ていきます。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド


賃貸併用自宅の建築についての『240平方メートルまでの小規模宅地について、その評価を80%の評価減(相続人が継続住居する事が前提)ができる特例』も適用されるので大幅に節税対策を図れます。そのほかにも、ずっと続いてきているトレンド的な理由がいくつか考えられます。

理由3: 世帯数ピークは来年2015年

世帯数推移

世帯数は2019年にピークを迎えるが、単身世帯は2030年まで増加(出典:国立社会保障・人口問題研究所)

人口減少がいわれる日本ですが、実は総人口は2006年の1億2774万人をピークに既に減少してきていますが、世帯総数のピークは2015年で、総人口より9年遅れて減少に転じるとされています。つまり単身者が増えているためで、この(主に若い)単身者の受け皿としての賃貸入居が期待されているのです。
(図表)

理由4:ローン融資枠が広がる

併用住宅は確かに単体居住住宅に比べると建築費もかさみがちですが、賃貸や店舗と併用することで、そこから得られる収入も担保となるため、単体居住住宅で借りられる融資枠よりも枠が増えます。自分たちの稼ぎだけでなく、しっかり家にも稼いでもらって、しっかり借りて返していくという考え方です。

理由5:入居者の潜在ニーズも汲む

富裕な地主さんがちょっと離れたアパートを資産運用として経営する…というのが従来の賃貸経営イメージですが、賃貸併用住宅とは、大家であるオーナー家族も一つ屋根の下に住むスタイル。「たとえば親元を離れて都市に出てきた若い女子学生さんやOLさんなどは、何かあった時に頼れる、孤独を感じない大家さん一緒居住スタイルのほうが、本人はもちろん親御さんたちも何かと安心ではないのでしょうか」(大手ハウスメーカー担当者)

理由6:二世帯・多世帯・シェアハウストレンド

シェアハウス

空間と経済効率を図るシェアハウスも併用住宅的な考え方

理由5にもつながりますが、最近は限られた土地の有効活用だけでなく、共働きが増えるにつれ、「子どもを世話してもらいたい」「食事や洗濯は一緒にして効率的に」など、時間的空間的効率も図れる二世帯居住も見直されています。若い人で人気のシェアハウスも、リビングやダイニングなどの空間をシェアして空間・経済効率を図る合理性も、この併用住宅に通じる同じ考え方かもしれません。

理由7:資産意識やつながりトレンド

理由5、6につながりますが、都市の孤独死の問題意識や震災後の絆が見直される中、「あえて入居者と一緒に住む」スタイルが支持されていることも考えられます。さらに実物資産として併用住宅を子孫に残すことも「稼ぎ続ける資産」として見直されつつあるのかもしれません。
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